
L-テアニンは、睡眠の質を高める効果が報告されている機能性関与成分です。
この記事では、お茶に含まれるアミノ酸の一種であるテアニンの効果について、科学的な研究結果を基に詳しく解説します。
睡眠に関する悩みや日中のストレス、起床時の疲労感を抱えている方へ向けて、テアニンの具体的な作用や効果的な摂取方法、おすすめの生活習慣までを紹介します。
目次
テアニンとは?お茶の旨味や甘みに関わるアミノ酸の一種
テアニンとは、お茶に含まれるアミノ酸の一種で、お茶特有の旨味や甘みに関わる味の成分です。
1950年に日本の茶の葉から発見され、玉露や抹茶などの高級な緑茶に特に多く含まれています。
テアニンの含有量は茶の種類や栽培方法によって異なり、日光を遮って育てられる玉露などは、苦味成分であるカテキンの生成が抑えられ、テアニンが豊富になります。
近年、このテアニンの機能性に関する研究が進み、リラックス作用や睡眠の質を改善する働きが注目されています。
テアニンに期待できる3つの主な効果
テアニンには、私たちの心身に良い影響をもたらす複数の作用が確認されています。
主な効果として、「睡眠の質向上」「一時的なストレスの緩和」「起床時の疲労感の軽減」の3つが挙げられます。
これらの効果は互いに関連し合っており、リラックス作用によって心身の緊張をほぐすことが、結果的に睡眠の改善や疲労感の軽減につながります。
ここでは、テアニンが持つこれらの代表的な働きについて、それぞれ詳しく見ていきます。
睡眠の質を高め、すっきりとした目覚めをサポートする
テアニンには、夜間の睡眠の質を高める働きが報告されています。
摂取することで、寝つきがスムーズになり、睡眠中の覚醒、いわゆる中途覚醒の回数を減らす効果が期待できます。
これはテアニンのリラックス作用により、就寝前に心身が落ち着いた状態になるためと考えられています。
深く、質の高い睡眠がとれることで、翌朝の目覚めがすっきりとし、起床時の眠気や疲労感が軽減されます。
その結果、日中の眠気も改善され、活動的な一日を過ごすためのサポートとなります。
睡眠時間だけでなく、睡眠の「質」に着目したアプローチとして有効です。
仕事や勉強による一時的なストレスを和らげる
テアニンには、仕事や勉強などが原因で生じる一時的な精神的ストレスを緩和する作用があります。
摂取してから約30分から1時間後には、脳内でリラックス状態の指標とされるα波が増加することが確認されています。
このα波は、心が落ち着いている時や集中力が高まっている時に現れる脳波です。
また、テアニンは交感神経の働きを抑え、心身を休息モードにする副交感神経を優位にすることで、自律神経のバランスを整えます。
ストレスを感じると分泌されるホルモンの量を調整し、過度な緊張をほぐすことで、穏やかな精神状態を保つ手助けをします。
起床時の疲労感をやわらげる
テアニンは、起床時の疲労感を軽減する効果も期待されています。
これは、テアニンが睡眠の質を向上させる働きと深く関係しています。
夜間に質の良い睡眠を確保できると、心と身体が十分に休息・回復するため、朝起きた時に感じるぐったりとした疲れやだるさが和らぎます。
睡眠中に心身のメンテナンスが適切に行われることで、前日の疲労が持ち越されにくくなります。
このように、テアニンは睡眠サイクルを整えることを通じて、朝の爽快なスタートを支援し、日々の健康的な生活基盤を支える役割を果たします。

「L-テアニン」と「テアニンS」に違いはある?
一般的に食品に含まれるテアニンは「L-テアニン」と呼ばれ、自然界に存在する形態です。
一方、化学合成で製造されるテアニンも存在します。
サプリメントなどで見られる「テアニンS」は、太陽化学株式会社が緑茶の成分をヒントに開発した高純度のL-テアニンを指す名称です。
発酵法という独自の技術を用いて製造されており、不純物が少なく品質が安定している点が特徴です。
摂取する上での機能性に大きな変化はありませんが、製造プロセスが異なります。
製品を選ぶ際には、どのような原料や製法で作られているかを確認することも一つの方法です。
テアニンを効果的に摂取するためのポイント
テアニンの効果を実感するためには、適切な量を継続して摂取することが重要です。
1日の有効量とされるのは200mgであり、この量を毎日続けることが推奨されます。
テアニンは食事、特にお茶から摂取できますが、十分な量を補うのは難しい場合もあります。
そのため、飲み物からの摂取とサプリメントの活用を組み合わせるのが現実的です。
ライフスタイルに合わせて無理なく続けられる方法を選び、この栄養成分を日々の習慣に取り入れることが、効果を得るための鍵となります。
緑茶や抹茶などの飲み物から摂取する
テアニンは、玉露や抹茶、かぶせ茶といった高級な緑茶に豊富に含まれています。
一般的な煎茶にも含まれますが、含有量は少なくなります。
お茶からテアニンを効率的に摂取するポイントは、お湯の温度です。
テアニンは低温の水でも溶け出しやすい一方、苦味や渋みの成分であるカテキンや、覚醒作用のあるカフェインは高温で抽出されやすくなります。
そのため、50〜60℃程度のぬるめのお湯でゆっくり淹れると、苦味を抑えつつテアニンの旨味とリラックス効果を引き出しやすくなります。
就寝前にカフェインの摂取を避けたい場合は、特にこの淹方が適しています。
日常的に飲む食品として、お茶を工夫して取り入れるのも良い方法です。

サプリメントを活用して手軽に補給する
テアニンを効率的に摂取するには、サプリメントの活用が便利です。
サプリであれば、カフェインを気にすることなく、必要な量を正確に補給できます。
機能性表示食品などでは、1日あたりの摂取目安量として200mgが推奨されており、多くの製品がこの配合量に合わせて設計されています。
Amazonなどのオンラインストアでも多様なサプリが販売されています。
製品によっては、睡眠やリラックスをサポートする他の成分、例えばアルギニン、オルニチン、マグネシウム、亜鉛などが一緒に配合されているものもあります。
テアニンは医薬品とは異なり、長期的に摂取しても耐性がつきにくいとされているため、継続しやすいのが特徴です。
就寝前に摂取するのがおすすめのタイミング
テアニンを摂取するタイミングは、目的によって調整するのが効果的です。
特に睡眠の質の向上を目的とする場合は、就寝の30分から1時間前に摂取することが推奨されます。
テアニンは摂取後、比較的速やかに体内に吸収され、リラックス効果を示すα波の増加が見られるため、寝る前のタイミングで飲むことで心身が落ち着き、自然な入眠をサポートします。
日中のストレス緩和や集中力維持を目的とする場合は、仕事や勉強の前など、緊張を感じやすい場面の前に摂取するのも一つの方法です。
自分のライフスタイルや悩みに合わせて、最適なタイミングを見つけることが大切です。
テアニンと併せて試したい!睡眠の質を上げる生活習慣
テアニンの摂取は睡眠の質をサポートする有効な手段ですが、その効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣を見直すことも欠かせません。
テアニンだけに頼るのではなく、相乗効果を狙って睡眠環境や就寝前の行動を整えることが、より良い睡眠への近道となります。
ここでは、今日からでも手軽に始められる、おすすめの生活習慣を3つ紹介します。
これらの習慣をテアニンの摂取と組み合わせることで、心身ともにリラックスした状態で夜を迎えることができます。
就寝1〜2時間前にぬるめのお湯でリラックスする
就寝の1〜2時間前に、38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることは、質の高い睡眠につながります。
入浴によって一時的に上昇した体の深部体温が、時間をかけて徐々に低下していく過程で、自然な眠気が促されるためです。
熱すぎるお湯や就寝直前の入浴は、交感神経を刺激してしまい、かえって寝つきを妨げる原因になるので注意が必要です。
日中に適度な運動を取り入れた後に入浴すると、身体の疲労回復も助け、より深いリラックス感が得られます。
リラックス効果のある入浴剤などを活用するのも良い方法です。
軽いストレッチで心と身体の緊張をほぐす
就寝前に軽いストレッチを行うと、日中の活動でこわばった筋肉がほぐれ、血行が促進されます。
これにより心身の緊張が和らぎ、リラックスした状態で眠りに入りやすくなります。
特に、深い呼吸を意識しながらゆっくりと筋肉を伸ばすことで、自律神経のうち副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が安定します。
激しい運動は避け、心地よいと感じる範囲で行うことが重要です。
デスクワークなどで同じ姿勢が続いた日や、生理周期の影響で心身が不安定な時にも、手軽に取り入れられる有効な習慣です。
寝る直前のスマートフォンやPCの使用を控える
スマートフォンやパソコン、テレビなどの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させる作用があります。
夜間にこの光を浴びると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、体内時計が乱れる原因となります。
これは、脳が昼間の日光を浴びていると錯覚してしまうためです。
その結果、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりします。
質の良い睡眠を確保するためには、少なくとも就寝の1時間前にはこれらの電子機器の使用を終え、目や脳を休ませる時間を作ることが不可欠です。
まとめ
テアニンは、お茶に含まれるアミノ酸の一種であり、睡眠の質の向上、一時的なストレスの緩和、起床時の疲労感の軽減といった効果が報告されています。
緑茶などから摂取する方法のほか、サプリメントを活用することで、1日の推奨量である200mgを効率的に補給可能です。
テアニンの効果を最大限に引き出すには、就寝前の入浴やストレッチ、デジタルデバイスの使用を控えるといった生活習慣の見直しを併せて行うことが有効です。
テアニンは医薬品ではなく、がんなどの特定の病気を治療するものではありませんが、健やかな毎日を送るためのサポートとして、自身のライフスタイルに合わせて取り入れることを検討できます。