コラム

香典返しはいつまでに贈る?時期の目安や金額、挨拶状まで解説

2025.12.18

香典返しはいつまでに贈るべきか、悩む方は少なくありません。
一般的に、香典返しは忌明けの法要後1ヶ月以内を目安に贈りますが、宗教や地域によって時期が異なります。

この記事では、香典返しを贈るタイミングや金額の相場、品物選びのマナー、そして感謝の気持ちを伝える挨拶状の書き方まで、網羅的に解説します。
故人を偲び、弔意を示してくださった方々へ失礼のないよう、基本的な知識を身につけておきましょう。

目次

香典返しを贈る時期はいつ?基本となる2つのタイミング

香典返しを贈る時期には、主に2つのタイミングがあります。
一つは、葬儀当日に直接お渡しする「即日返し」です。
もう一つは、忌明けの法要を終えた後に郵送などで贈る「後返し」です。

どちらのタイミングが良いかは、ご遺族の状況や地域の慣習によって異なります。
それぞれの特徴を理解し、どちらの方法で香典返しを行うか判断することが大切です。
近年では即日返しを選ぶケースも増えていますが、後返しが本来の形式とされています。

葬儀当日に直接お渡しする「即日返し」

即日返しとは、お通夜や葬儀・告別式の当日に、香典をいただいたその場で香典返しをお渡しする方法です。
会葬御礼品と一緒に手渡すことが多く、後から香典帳を整理して発送する手間が省けるという利点があります。
参列者が多い場合や、ご遺族の負担を軽減したい場合に適しています。

ただし、いただいた香典の金額にかかわらず一律の品物をお渡しするため、高額の香典をいただいた方には、後日改めて差額分にあたる品物を贈るのが丁寧な対応です。
通夜の段階で準備が必要になるため、事前の手配が求められます。

忌明けの法要後に郵送する「後返し」

「後返し」は、忌明けの法要が無事に終わったことを報告する意味合いを込めて、香典返しを郵送などで送る、古くからの慣習に沿った方法です。
この方法の利点は、いただいた香典の金額に合わせて、一人ひとりに見合った品物を選べることです。
香典帳の整理や品物の手配、発送作業など手間はかかりますが、より丁寧に感謝の気持ちを伝えられます。

後返しを行う際は、忌明けから1ヶ月以内を目安に相手の手元に届くように手配を進めるのが一般的です。
遅くとも法要の10日前までには品物を選定し、送る準備を始めるとよいでしょう。

【宗教別】香典返しを贈る時期の目安となる「忌明け」とは

香典返しを後から贈る場合、その時期の目安となるのが「忌明け」です。
忌明けとは、故人が亡くなってから遺族が喪に服す「忌中」の期間を終えることを指します。
この忌明けのタイミングは、宗教や宗派によって異なります。

一般的には仏式の四十九日が広く知られていますが、神式やキリスト教では考え方や儀式の時期が変わります。
また、葬儀の形式だけでなく、地域によっても慣習に違いが見られるため、事前に確認が必要です。
例えば、北海道や関西の一部地域では、即日返しが主流となっています。

仏式では四十九日の法要後が一般的

仏式の場合、故人が亡くなってから49日目にあたる「四十九日(しじゅうくにち)」をもって忌明けとするのが一般的です。
仏教では、故人の魂は7日ごとに審判を受け、49日目に次の行き先が決まると考えられています。
このため、遺族は四十九日に法要を営み、故人の冥福を祈ります。

香典返しは、この四十九日の法事が無事に終わったという報告と、生前の感謝を伝える意味を込めて贈るものです。
品物を発送するタイミングは、法要後から1ヶ月以内を目安にすると良いでしょう。

神式では五十日祭の後に贈る

神道(神式)では、故人が亡くなってから50日目に行われる「五十日祭(ごじゅうにちさい)」が、仏式の四十九日にあたる重要な儀式です。
この五十日祭をもって忌明けとし、遺族は日常生活に戻ります。

香典返しにあたる贈答品は、この五十日祭を終えた後、1ヶ月以内を目安に贈るのが習わしです。
神道では、品物の表書きを「志」の他に「偲び草」とすることも特徴です。
故人を偲ぶ気持ちを込めた品物という意味合いがあり、挨拶状を添えて感謝の気持ちを伝えます。

キリスト教式では追悼ミサや記念式の後に贈る

キリスト教には、仏式や神式のような「忌明け」という明確な概念はありません。
しかし、日本の慣習にならい、特定の時期を目安にお礼の品を贈ることが一般的です。
カトリックの場合は、亡くなってから30日目の「追悼ミサ」の後に、プロテスタントの場合は、1ヶ月後の「召天記念式」の後に贈ります。

品物には「志」や「偲び草」と書かれた掛け紙をかけ、感謝の言葉を記したカードなどを添えます。
キリスト教では香典返しという言葉は使わず、あくまで故人を偲んでいただいたことへのお礼として品物を贈ります。

香典返しを贈るのが遅れてしまった場合の対処法

香典返しはいつまでに贈るべきかという厳密な決まりはありませんが、忌明けから1ヶ月以内が目安です。
もし、この時期を過ぎてしまった場合は、遅れたことに気づいた時点ですぐに手配を始めましょう。
その際、挨拶状にひと言お詫びの言葉を添えるのがマナーです。
半年や一年など、大幅に時期が遅れてしまった場合は、初盆や一周忌、三回忌といった法要の頃まで待ち、その報告を兼ねて贈る方法もあります。

ただし、年末年始やお祝い事の時期に贈るのは避けるべきです。
いつまでという期限はありませんが、感謝の気持ちを伝えるためにも、できるだけ早く対応することが大切です。

香典返しの金額相場は「半返し」が基本

香典返しの金額は、いただいた香典の半額程度をお返しする「半返し」が古くからの慣習であり、一般的な相場とされています。
例えば、1万円の香典をいただいた場合は、5,000円程度の品物を選ぶのが目安です。

ただし、これはあくまで目安であり、相手との関係性やいただいた金額、地域の慣習によっては3分の1程度のお返しになることもあります。
高額な香典をいただいた場合や、一家の主を亡くした場合など、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。

いただいた香典の3分の1から半額を目安に準備する

香典返しの品物を選ぶ際は、いただいた香典の金額の3分の1から半額程度を目安に準備するのが一般的です。
これを「半返し」または「3分の1返し」と呼びます。
例えば、1万円の香典をいただいたら3,000円から5,000円程度の品物を返すことになります。

即日返しで一律2,000円~3,000円の品をお渡しした場合、高額の香典をくださった方には、後日、いただいた金額に応じた差額分の品物を追加で贈るのが丁寧な対応です。
香典帳を基にリストを作成し、適切な金額の品物を選びましょう。

高額な香典へのお返しは3分の1程度でも良い

親族などから2万円、5万円、あるいはそれ以上といった高額な香典をいただくことがあります。
このような場合、必ずしも「半返し」にこだわる必要はなく、いただいた金額の3分の1から4分の1程度のお返しでも失礼にはあたりません。

高額な香典には、故人への深い弔意とともに、残された遺族の生活を支援するという意味合いも含まれるためです。
例えば5万の香典であれば、1万5,000円から2万円程度の品物を選ぶのが一つの目安です。
無理のない範囲で、感謝の気持ちが伝わる品物を選びましょう。

香典返しでよく選ばれる品物と避けるべき品物

香典返しの品物選びには、古くからの慣習に基づいたマナーがあります。
基本的には、不幸を後に残さないという考えから、食べたり使ったりしたらなくなる「消えもの」が適しているとされています。
お茶やお菓子、海苔などが定番ですが、近年では相手の好みを尊重してカタログギフトを選ぶ方も増えています。

一方で、お祝い事を連想させる品物や、殺生を想起させる肉や魚などは避けるべきとされています。
品物選びで相手に不快な思いをさせないよう、基本的なマナーを心得ておきましょう。

お茶やお菓子など形が残らない「消えもの」が定番

香典返しには、不幸を後に残さないという考えから「消えもの」と呼ばれる品物が選ばれます。
具体的には、お茶やコーヒー、海苔、お菓子、砂糖、そうめんといった食品や、石鹸、洗剤、タオルなどの日用品が定番です。
これらは誰もが使いやすく、日持ちがするものが多いため、贈る相手を選びません。

特にタオルは「悲しみを拭い去る」、石鹸や洗剤は「悲しみを洗い流す」といった意味合いで選ばれることもあります。
どのような品物を贈るか迷った際は、こうした定番の消えものの中から選ぶとよいでしょう。
故人が生前好きだった品を贈るのも、心を伝える一つの方法です。

相手に選んでもらえるカタログギフトもおすすめ

近年、香典返しとして人気が高まっているのがカタログギフトです。
最大のメリットは、受け取った側が掲載されている商品の中から自分の好きなものや必要なものを選べる点にあります。
贈る側にとっても、相手の好みが分からなくても安心して贈ることができ、品物選びの負担が軽減されます。

また、香典の金額に応じて様々な価格帯のカタログが用意されているため、予算に合わせた品物を選びやすいのも利点です。
ただし、人によっては味気ないと感じたり、お年寄りの方には注文方法が分かりにくかったりする場合もあるため、贈る相手を考慮して検討することが大切です。

贈ると失礼にあたるNGな品物リスト

香典返しには、贈るのを避けるべきとされる品物があります。
まず、肉や魚などの生ものは「四つ足生臭もの」と呼ばれ、殺生を連想させるためタブーとされています。
また、お祝いの席で使われることの多い昆布や鰹節、お酒などの嗜好品も不適切です。

商品券やギフトカード、現金なども、金額が直接的に分かってしまうため、特に目上の方へ贈るのは失礼にあたることがあります。
これらの品物は、弔事の贈り物としてはふさわしくないとされているため、選ばないように注意が必要です。
品物選びをする際には、こうしたマナー違反にならないよう気をつけましょう。

香典返しに添える掛け紙(のし)と挨拶状の基本マナー

香典返しを贈る際には、品物だけでなく、掛け紙(のし)や挨拶状にも注意が必要です。
これらは、弔意を示してくださった方々へ、礼儀を尽くして感謝の気持ちを伝えるための重要な要素です。
特に後返しで郵送する場合は、直接お礼を述べられない代わりに、挨拶状という手紙を添えるのが丁寧なマナーとされています。

掛け紙の選び方からお礼状の書き方まで、基本的なルールを理解し、失礼のないように準備を進めましょう。

掛け紙(のし)の水引や表書きの正しい選び方

香典返しに用いる掛け紙には特定の決まりがあります。
水引は、二度と不幸が繰り返されないようにとの願いを込めて、結び目がほどけない「結び切り」を選びます。
色は黒白の組み合わせが全国的に使われますが、関西から西日本の地域では黄白の水引が用いられることもあります。

表書きは、宗教宗派を問わず使用できる「志」が最も一般的です。
仏式で四十九日法要のお返しとする場合は「満中陰志」、神式やキリスト教式では「偲び草」とすることもあります。
水引の下には、喪主の姓、または「〇〇家」とフルネームを記載します。
御挨拶などの表書きは使いません。

感謝を伝える挨拶状の書き方と基本構成

香典返しに添える挨拶状は感謝の気持ちを伝える大切な手紙です
基本的な構成はまず会葬や香典に対するお礼を述べ次に忌明けの法要を滞りなく終えたことを報告します
そして供養のしるしとして心ばかりの品を贈った旨を伝え本来であれば直接お伺いすべきところを書面で失礼することへのお詫びで締めくくります

弔事の手紙では句読点を使わないのが慣習です
また時候の挨拶は不要で頭語と結語を入れるのが一般的です
故人の生前のエピソードなどを追加するとより心のこもった挨拶状になります

香典返しを贈らなくてもよいケースとは?

香典をいただいたらお返しをするのが基本的なマナーですが、中には香典返しが不要とされるケースも存在します。
例えば、香典をくださった方が香典返しを辞退された場合や、故人の遺志によっていただいた香典を寄付する場合などがそれに該当します。

こうした状況では、相手の意向を尊重したり、適切な形で報告したりすることが求められます。
どのような場合に香典返しをしなくてもよいのかを事前に理解しておくことで、いざという時に迷わず対応できます。

ご遺族の負担を考慮して香典返しを辞退された場合

香典をくださった方から、香典返しを辞退する意向が示されることがあります。
香典袋の表書きにその旨が記載されていたり、口頭で伝えられたりするケースです。
これは、ご遺族の負担を軽減したいという相手の配慮によるものですから、そのお気持ちをありがたく受け取り、香典返しを贈らなくても失礼にはあたりません。

ただし、感謝の気持ちを伝えるため、忌明けの時期に挨拶状(お礼状)だけを送るのがより丁寧な対応です。
お礼状には、香典へのお礼とともに、お心遣いに感謝する旨を記しましょう。
香典返しがもらえると思っていた、ということは考えず、相手の厚意に感謝することが大切です。

故人の遺志により香典を寄付する場合

故人の生前の遺志や、遺族の意向によって、いただいた香典を社会福祉団体やNPO法人などに寄付する場合があります。
この場合、香典返しとして品物を贈る代わりに寄付を行うため、個別の返礼品は不要です。

ただし、香典をくださった方々には、その旨をきちんと報告する義務があります。
忌明けの挨拶状の中で、香典へのお礼と共に、故人の遺志で寄付をさせていただいたこと、寄付先の団体名などを明記して報告します。
これにより、香典をくださった方々にも納得してもらうことができますし、丁寧な対応として受け取られます。

香典返しに関するよくある質問

香典返しを準備するにあたり、さまざまな疑問が生じることがあります。
例えば、「会葬御礼」との違いが分からなかったり、会社などから連名で香典をいただいた際の対応に迷ったりすることもあるかもしれません。

また、香典返しを受け取った側が、さらにお礼をすべきかどうか悩むケースも少なくありません。
ここでは、そうした香典返しに関するよくある質問を取り上げ、それぞれの疑問について解説します。
適切な対応を知っておくことで、安心して品物を渡すことができます。

「会葬御礼」と「香典返し」は何が違う?

会葬御礼と香典返しは、しばしば混同されがちですが、目的が異なる全く別のものです。
会葬御礼は、お通夜や葬儀に足を運んでくださったことへの感謝のしるしとして、香典の有無にかかわらず参列者全員にお渡しします。
500円から1,000円程度のハンカチやお茶、お清めの塩などが一般的です。

一方、香典返しは、香典をいただいたことに対するお礼の品物です。
そのため、香典をいただいていない方へお渡しする必要はありません。
会葬御礼は当日に、香典返しは後日(または即日返し)に贈るという違いもあります。

会社や友人から連名で香典をいただいたらどうする?

会社や職場、友人一同など、連名で香典をいただくケースは少なくありません。
この場合の香典返しは、いただいた合計金額を人数で割り、一人当たりの金額を算出してから考えます。
その一人当たりの金額の半額から3分の1程度が、お返しの目安です。
個別に品物を贈るのが丁寧ですが、一人当たりの金額が少額になる場合は、全員で分けられるような個包装のお菓子の詰め合わせなどを一つの品として贈る方法もあります。

職場への香典返しは、忌引き休暇明けに直接お礼の言葉とともに渡すとよいでしょう。
その際は、代表者の方だけでなく、皆さんに行き渡るような配慮が必要です。

香典返しを受け取った側がお礼をするのはマナー違反?

香典返しを受け取った場合、基本的にお礼の連絡は不要とされています。
お礼にお礼を重ねることは「不幸が重なる」ことを連想させ、かえってご遺族に気を使わせてしまうため、マナー違反と考える向きもあります。
もし、品物が無事に届いたことを伝えたい場合は、電話や手紙、親しい間柄であればメールなどで、「お品物、拝受いたしました。お心遣い恐れ入ります」のように、簡潔に伝える程度に留めるのが賢明です。

近年ではラインなどで連絡するケースも見られますが、相手との関係性をよく考え、長文になったり、返信を催促するような内容になったりしないよう配慮が求められます。

まとめ

香典返しは、葬儀に際してお世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えるための大切な慣習です。
贈る時期は、忌明けの法要から1ヶ月以内が一般的ですが、仏式の四十九日、神式の五十日祭など、宗教によって目安となる時期が異なります。

金額の相場はいただいた香典の半額をお返しする「半返し」が基本ですが、相手との関係性や状況に応じて3分の1程度でも問題ありません。
品物選びでは消えものが好まれ、掛け紙や挨拶状にもマナーがあります。
故人を偲んでくださった方々へ失礼のないよう、本記事で解説した内容を参考に、心を込めて準備を進めてください。

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