コラム

カテキンとは?緑茶に含まれる成分の効果・機能性・適切な摂取量を解説

2025.9.25

カテキンとは、緑茶に豊富に含まれるポリフェノールの一種で、お茶特有の渋みや苦味の主成分です。
この成分には、抗酸化作用や抗菌作用、体脂肪を減らす効果など、様々な健康効果や機能性が報告されています。
この記事では、カテキンの基本的な情報から、期待できる効果、多く含まれる食品、そして1日の適切な摂取量や注意点まで、お茶に含まれるカテキンについて網羅的に解説します。

そもそもカテキンとは?お茶の渋みの主成分

カテキンとは、植物に含まれるポリフェノールの一種であり、特に緑茶に多く含まれる渋み成分のことです。
化学構造的にはフラボノイド類に分類され、古くはタンニンと呼ばれていました。
お茶の味や色を構成する重要な要素であり、特有の苦味や渋みはカテキンに由来します。
その名前の原点は、インド原産のアカシア・カテキューという植物から抽出されたエキス「カテキュー」にちなんで名付けられました。

カテキンは1種類ではない!代表的な4つの種類とその特徴

カテキンは単一の成分ではなく、構造が少しずつ異なる複数の種類が存在します。
お茶には主に8種類が含まれていますが、その中でも代表的なものは「エピカテキン」「エピガロカテキン」「エピカテキンガレート」「エピガロカテキンガレート(EGCg)」の4種類です。
これら4種は遊離型カテキンとエステル型カテキンに大別されます。
特に、緑茶カテキンの総含有量の半分以上を占めるEGCgは、最も強い生理作用を持つことで知られており、健康効果に関する研究の多くがこのEGCgに注目しています。

カテキンに期待できる健康効果・機能性を一覧で紹介

カテキンは、その強力な抗酸化作用を基盤として、私たちの健康に多方面から良い影響を与える機能を持つことが研究で明らかになっています。
代表的な効能としては、生活習慣病の要因となる活性酸素を抑制する作用や、ウイルスや細菌の増殖を抑える働きが挙げられます。
その他にも、コレステロールや血糖値のコントロール、肥満予防、口腔ケアに至るまで、カテキンが持つ多様な健康作用について、以下で詳しく紹介します。

老化や生活習慣病の要因に働く活性酸素を抑える抗酸化作用

私たちの体は、呼吸によって取り入れた酸素の一部から活性酸素を生成します。
この活性酸素が過剰になると、細胞を傷つけ(酸化させ)、老化や動脈硬化といった生活習慣病、さらにはがんの引き金になると考えられています。
カテキンは、この活性酸素の働きを抑制する強力な抗酸化作用を持っています。
ビタミンCやビタミンEよりも強い抗酸化力を持つとされ、細胞の酸化ダメージを防ぐことで健康維持に貢献します。
また、がん細胞の発生や増殖を抑制する働きも報告されており、がん予防の観点からも注目されている成分です。

ウイルスや細菌の増殖を抑制する抗菌・抗ウイルス作用

カテキンには、様々な細菌やウイルスに対する増殖抑制作用があります。
この殺菌作用は、カテキンがウイルスや細菌の細胞膜に付着し、その活動を妨げることによって発揮されます。
特に、風邪やインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果が知られており、緑茶でのうがいは風邪予防に有効な手段とされています。
さらに、O-157やコレラ菌といった食中毒の原因となる細菌に対しても強い抗菌力を示すことが確認されており、食事と共にお茶を飲むことは、衛生管理の面でも理にかなっていると言えます。

血中の悪玉(LDL)コレステロールを低下させる働き

カテキンには、血中の悪玉(LDL)コレステロールを低下させる働きがあることが報告されています。
食事に含まれるコレステロールは、消化の過程で胆汁酸ミセルという粒子に取り込まれて体内に吸収されますが、カテキンはこの胆汁酸と結合することでコレステロールの吸収を抑制します。
これにより、血中コレステロール値の上昇が緩やかになり、動脈硬化や脂質異常症といった生活習慣病の予防につながる可能性があります。
このコレステロールを下げる機能は、特定保健用食品などでも活用されています。

食事による糖の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑制する効果

カテキンは食後の血糖値の急激な上昇を抑制する効果を持っています。
食事から摂取した炭水化物は消化酵素によってブドウ糖に分解され小腸から吸収されます。
カテキンはこの消化酵素の働きを阻害することで糖の分解と吸収のスピードを緩やかにします。
その結果食後の血糖値の上昇が穏やかになりインスリンの過剰な分泌を抑えることにつながります。
この作用は糖尿病の予防や管理において非常に重要であり血糖値が気になる方にとって有益な働きです。

脂肪の吸収を抑え燃焼を促進する肥満予防効果

カテキンには、肥満予防に役立つ二つの重要な働きがあります。
一つ目は、食事に含まれる脂肪の吸収を抑制する作用です。
カテキンは、脂肪を分解する消化酵素(リパーゼ)の働きを阻害し、吸収されずに体外へ排出される脂肪の量を増やします。
二つ目は、体内のエネルギー代謝を活発にし、脂肪燃焼を促進する作用です。
特に、肝臓や筋肉での脂質代謝を高めることで、内臓脂肪を含む体脂肪の減少を助けます。
このため、継続的なカテキンの摂取は、健康的な体重管理と肥満の予防に効果的です。

虫歯菌の働きを弱め口臭を予防する効果

カテキンは、口腔内の健康維持にも貢献します。
虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌は、糖を分解して歯垢(プラーク)を作り出しますが、カテキンはこの菌の増殖を抑制し、歯垢の形成を防ぐ働きがあります。
また、歯周病菌に対しても抗菌作用を示すため、歯周病の予防も期待できます。
さらに、口臭は口内の細菌がタンパク質などを分解する際に発生するガスが原因ですが、カテキンにはこれらの細菌を減らし、臭いの元を断つ消臭効果もあります。
食後に緑茶を飲む習慣は、歯磨きと合わせて口腔ケアに役立ちます。

アレルギー症状を緩和させる可能性

カテキンには、花粉症などのアレルギー反応を緩和する可能性が示唆されています。
アレルギー症状は、体内にアレルゲンが侵入した際、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が過剰に放出されることで引き起こされます。
一部のカテキン、特に「エピガロカテキンガレート(EGCg)」や、べにふうき緑茶に多く含まれる「メチル化カテキン」には、このヒスタミンの放出を抑制する作用があることが研究でわかってきました。
これにより、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状を和らげる効果が期待されています。

腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善する作用

カテキンは腸内環境を整える上でも有益な働きをします。
腸内には多種多様な細菌が生息しており、そのバランスが健康状態を左右します。
カテキンはビフィズス菌や乳酸菌といった健康維持に役立つ善玉菌の増殖を促進する一方で、ウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖を抑制する作用があります。
これにより、腸内フローラのバランスが改善され、便通の改善や免疫機能の維持につながることが期待されます。
腸内環境を良好に保つことは全身の健康の基本であり、カテキンの摂取はその一助となり得ます。

カテキンはどんな食品や飲料に多く含まれている?

カテキンを多く含む食品として最も代表的なのは、やはり緑茶です。
特に、煎茶や抹茶、玉露などに豊富に含まれています。
同じ茶の木から作られる紅茶や烏龍茶にもカテキンは含まれますが、発酵過程でカテキンの一部がテアフラビンなどに変化するため、含有量は緑茶に比べて少なくなります。
お茶以外の飲料では、赤ワインにも含まれています。
食品では、リンゴ、カカオ(チョコレート)、ブルーベリー、大豆といった果物や野菜にもカテキンは存在しますが、緑茶の含有量には及びません。
したがって、効率的にカテキンを摂取するには緑茶が最適な飲料です。

カテキンの適切な摂取量と副作用のリスク

カテキンは健康に多くの利点をもたらしますが、どのような成分でも過剰摂取は避けるべきです。
特に、サプリメントや高濃度茶など、濃縮された形でカテキンを摂取する場合は注意が必要です。
通常の食事の範囲でお茶を飲む分には問題となることは稀ですが、極端に多量に摂取した場合、肝臓への負担や胃の不快感といった有害な影響が報告されています。
健康効果を期待してカテキンを摂取する際は、適切な摂取量を守り、副作用のリスクも理解しておくことが重要です。

1日に摂取したいカテキンの目安量

カテキンの1日の摂取量について、国が定めた明確な基準はありませんが、研究や特定保健用食品の表示から、ある程度の目安を知ることができます。
例えば、体脂肪低減を目的とした機能性表示食品では、1日あたり540mg程度のカテキン摂取が推奨されている場合があります。
また、太陽化学株式会社の資料によれば、食事由来のコレステロールの吸収抑制には1回178mg以上、体脂肪低減には1回340mg以上というデータもあります。
一般的な煎茶の場合、湯呑み1杯(約100ml)に約100mgのカテキンが含まれているため、1日に数杯のお茶を飲むことで、健康維持に役立つ量を摂取することが可能です。

過剰摂取で起こりうる副作用と注意点

通常の食事から緑茶を飲む範囲では、カテキンの過剰摂取を心配する必要はほとんどありません。
しかし、サプリメントや高濃度のカテキン飲料を大量に摂取した場合、稀に肝機能障害を引き起こす可能性が海外で報告されています。
また、カテキンに含まれるタンニンは、食事中の鉄分と結合して吸収を妨げる性質があるため、貧血の傾向がある人は食事中や食後すぐの濃いお茶の摂取は避けた方が良いとされています。
空腹時に高濃度のカテキンを摂取すると、胃に不快感や痛みを感じる人もいるため、自身の体調に合わせて摂取することが求められます。

より効果的!カテキンを上手に摂取するコツ

カテキンの健康効果を最大限に引き出すためには、摂取方法に工夫するのがおすすめです。
カテキンは熱いお湯で淹れるとより多く抽出される性質があるため、高温のお湯で淹れると効率的に摂取できます。
また、カテキンは一度に大量に摂取しても体外に排出されやすいため、毎日継続してこまめに飲むことがポイントです。
食事中や食後に飲むことで、糖や脂肪の吸収を穏やかにする効果が期待できます。
機能性表示食品などを選び、水分補給として活用するのも良い方法です。
テアニンなど他の成分との相乗効果も期待できるため、緑茶を日常生活に取り入れることを推奨します。

まとめ

カテキンは緑茶の主要な栄養素であり、渋み成分のポリフェノールです。
その機能性は多岐にわたり、強力な抗酸化作用をはじめ、体脂肪の低減、コレステロールや血糖値の上昇抑制、抗菌作用などが科学的に確認されています。
これらの効果を得るためには、1日に数杯の緑茶を飲むなど、毎日継続して摂取することが推奨されます。
近年では脳や骨、目への影響に関する研究も進められています。
通常の食品からの摂取が基本ですが、サプリメントなどを利用する際は過剰摂取に注意が必要です。
カテキンは食品添加物としても利用されることがありますが、その健康効果を享受するには、自然な形での摂取が望ましいです。

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