お茶のあれこれ

茶畑になぜ扇風機?その理由と重要な役割に迫る

2023.11.21

茶畑における気象災害には干害、凍霜害、寒害、雪害、塩害など様々なものがあります。

毎年、茶葉を収穫して美味しいお茶を作るためには、これらの災害と向き合っていかなければなりません。

特に茶畑にとって深刻な被害をもたらす「凍霜害(とうそうがい)」
茶畑にある扇風機はこの被害を防ぐためにあります。

扇風機の名前は「防霜ファン

茶畑の地上数メートルのところに設置された扇風機は霜よけ専用機であることから防霜ファンと呼ばれています。

もともとは果樹園で実用化されていた防霜ファンを茶畑用に改良して開発されました。

なお、凍霜害を防ぐには

・茶樹を専用シートで被覆する被覆法

・茶樹に対して水をまく散水氷結法

散水氷結法:葉を氷で包むことで、0℃以下になることを防ぐ

・大型の扇風機で風を当てる送風法

などがありますが、一般的に最も普及しているのが、防霜ファンを使用した送風法です。

お茶の産地「静岡県」では、1979年に発生した大凍霜害をきっかけに広く普及することとなりました。

茶畑に深刻な被害を与える凍霜害とは

茶畑における凍霜害とは一番茶(新茶)の新芽に被害を及ぼす低温障害で、収穫期の直前にあたる3月~4月頃が最も危険な時期となります。

凍霜害は朝の茶芽の温度がマイナス2℃以下になると発生し、結果的に芽が枯死してしまうことになります。

霜被害にあった茶芽

なぜこのようなことが起こるのか。
凍霜害を引き起こす気象条件について触れていきたいと思います。

春先になると大陸から流れてくる移動性高気圧が日本上空を通過します。

この移動性高気圧によってもたらされる「乾燥」「雲が無く晴れている」「風が弱い」といった状況が、昼夜の寒暖差を大きくします。

これにより問題となるのが、夜間に発生する「放射冷却(ある物が熱を放出することで冷える現象)」です。

寒暖差によって放射冷却が強まることで、地熱を発する地面や日中に暖められた茶畑が冷え込みます。

さらに追い打ちをかけるように風の無い状態が続いてしまうと、上空の暖かい空気と地表の冷たい空気が混ざり合うことがなくなり、茶畑は冷たい空気に覆われた状態が続いてしまいます。

この状況になってしまうと茶株の温度は一般的な気温よりも3~5℃低い状態になり、さらに茶芽の温度は茶株面よりも2℃ほど低い温度となってしまいます。

こういった条件が重なることで、霜が降りて凍霜害に遭う危険性が極めて高くなってきます。

防霜ファンの役割

先ほど、「風がなく上空の暖かい空気と地表の冷たい空気が混ざり合うことがないので地表は冷え込む」と説明しましたが、防霜ファンは、まさにこの空気を混ぜ合わせるためにあります。

実は霜害回避のために必要な暖かい空気層は遥か上空にあるわけではなく、地上5m付近にあります。

これを「逆転層」と呼び、防霜ファンによって逆転層の空気を地表に向かって吹き付けることで茶畑まわりの空気を暖め、霜害を防ぎます。

また、低温になると自動的に稼働する仕組みになっていて、必要なタイミングで動いて茶畑を霜害から守ってくれる欠かせない設備になっています。

まとめ

凍霜害による影響の大きさと、それを防ぐために防霜ファンがいかに重要な役割を果たしているか紹介させていただきました。

茶農家さんにとって一番茶は年間収益の大半を占めます。それが万が一、霜害によって収穫できない事態になったら経営に大打撃を受けてしまいます。

茶農家さん、ひいては茶業界で働く人々の生活を守り、毎年美味しい新茶が飲めるのは防霜ファンが頑張ってくれているおかげでもあるんですね。

茶畑にそびえ立つ巨大扇風機の謎は解けたでしょうか。

不思議に思っている人が近くにいたら、ぜひ説明して上げてください!

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