私たちが普段口にしているお茶。お茶を飲んでいて、ふと気になったのがお茶はいつからあるのかという疑問でした。長い歴史を感じさせるお茶のスタートラインはいったいどこなのでしょうか。今回はお茶の起源について探っていきたいと思います。
お茶の起源は「中国」
お茶の起源を辿るとき、今から約5000年前の中国の神話に触れる必要があります。
薬用とする植物、動物、鉱物の形態や産地、効能などを研究する学問「本草学」の始祖と言われている中国の神農は至るところに生えた野草を試食し、食べられる植物を人々に教えて回りました。ときには毒にあたり苦しんだそうですが、そんなときに茶の葉を噛んで解毒したと伝えられており、これが人間とお茶の関わりのスタート地点とされています。
薬から飲み物へ
カテキン類が豊富に含まれているお茶は植物のもつ毒素(アルカロイド)に強く働きかけることから、最初は薬として飲まれていたと考えられていましたが、次第にお茶特有の香りや飲み心地から庶民の飲み物へと広がりをみせていきます。
やがて、お茶のもつ様々な効能や味、香りの良さから世界中に広がり、それぞれの国の文化に合った形で発展を見せていきました。
中国から日本へ
世界中へ広がっていくお茶ですが、日本に持ち込まれたのは奈良~平安時代とされています。中国の文化や制度を学び取り入れる為に遣唐使や留学僧によってもたされました。
平安初期の《日本後記》に「嵯峨天皇に大僧都(だいそうず)永忠が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った」との記述があるそうです。日本におけるお茶に関する最初の記述といわれています。
当時のお茶は非常に貴重とされていて、貴族や僧侶などの上流階級の人のみが口にできたようです。また、この頃飲まれていたお茶は、餅茶とされています。
植物としてのスタート
ここまでは人類史における起源を辿りました。
では植物としての”最初”はいったいどこなのでしょうか?
茶には中国種とアッサム種があります。
中国種とは中国南西部の雲南省に起源をもつ茶の木、対してアッサム種はインドのアッサム地域で見つかった野生の茶の木です。
いずれも形態や生態が大きく異なるため、茶の原産地は2つに分かれるという説と両者の染色体数が同じであることから大差はなく、原産地は1つとされている説もありますが、現在は中国西南地域を中心とした「東亜半月弧」と呼ばれる地域を起源とする説が有力です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
諸説ありますが、人類に広がりをみせた起源、そしてお茶の植物としての起源、いずれも中国とされています。
歴史を感じさせるお茶ですが、発祥が紀元前というには驚かされます。
そして日本の文化に合わせて独自の発展を遂げた日本茶。
普段飲んでいるお茶はこのように長い歴史をもつ伝統の飲み物なのです。
<参考資料・出典>
・農山漁村文化協会 日本茶のすべてがわかる本