
茶摘みの時期はいつからいつまで行われるかご存じでしょうか。
お茶の収穫は年に数回あり、特に春に摘まれる新茶は格別な味わいです。
茶摘みのシーズンは、春の訪れを告げる「八十八夜」の頃に最盛期を迎え、その後も季節ごとに続きます。
この記事では、一番茶から秋冬番茶までの具体的な収穫時期や、産地によるタイミングの違い、収穫する芽による味わいの変化について解説します。
目次
茶摘みの時期は年に4回!それぞれの収穫シーズンを紹介
お茶の収穫、すなわち茶摘みのシーズンは、年に最大で4回あります。
最初の収穫は4月下旬から5月にかけて行われる「一番茶(新茶)」で、この季節に摘まれたお茶は最も品質が高いとされます。
その後、6月中旬から7月上旬に「二番茶」、7月下旬から8月上旬には「三番茶」が収穫され、夏にも茶摘みが行われます。
そして最後のシーズンとなるのが、9月下旬から10月にかけて摘まれる「秋冬番茶」です。
このように、お茶の収穫は春から秋にかけて複数回にわたって行われ、それぞれの時期で茶葉の品質や味わいが異なります。
地域や茶園の方針によっては、二番茶までしか摘まない場合もあります。
茶摘みシーズンの幕開けを告げる「八十八夜」とは?
八十八夜は立春から数えて88日目にあたる日のことで、毎年5月1日か2日頃になります。
「夏も近づく八十八夜」という歌のフレーズで知られるように、この時期は春から夏へと季節が移り変わる節目です。
気候が安定し、霜の心配が少なくなるため、農作業を始める目安とされてきました。
お茶の世界では、八十八夜の頃に摘まれたお茶は栄養価が高く風味も良いことから、古くから縁起物として珍重されています。
この時期は一番茶の収穫が最盛期を迎え、茶産地が最も活気づく季節です。
八十八夜は本格的な茶摘みシーズンの到来を告げる特別な日といえます。
最も価値が高い「一番茶(新茶)」の収穫時期と味わい
一番茶とは、その年の最初に生育した新芽を摘み取って作られるお茶のことで、「新茶」とも呼ばれます。
収穫時期は4月下旬から5月中旬にかけてです。
冬の間にじっくりと養分を蓄えた茶葉は、旨味や甘みの成分であるテアニンを豊富に含んでいます。
一方で、渋み成分であるカテキンの含有量が少ないため、苦みが少なくまろやかで、爽やかな若葉の香りを楽しめるのが最大の特徴です。
この時期に収穫される茶葉は、一年で最も品質が高く、高級な緑茶として扱われます。
生産量も限られているため、旬の味覚として多くの人々に親しまれています。

二番茶・三番茶の収穫時期と品質の特徴
一番茶の収穫が終わった後、その後に伸びてくる芽を摘んで作られるのが二番茶や三番茶です。
二番茶は6月中旬から7月上旬頃、三番茶は7月下旬から8月上旬頃に収穫されます。
一番茶に比べて、旨味や甘み成分であるアミノ酸の含有量は減少します。
一方で、夏の強い日差しを浴びて育つため、渋み成分であるカテキンの含有量が増える傾向にあります。
そのため、一番茶のような爽やかな香りや旨味は控えめになり、さっぱりとした渋みのある味わいが特徴です。
価格は一番茶よりも手頃になるため、家庭で日常的に飲むお茶や、ペットボトル飲料の原料などに広く利用されています。
鹿児島から静岡へ!産地によって異なる茶摘みのタイミング
茶摘みの開始時期は日本全国で一律ではなく産地の気候によって大きく異なります。
温暖な地域ほど茶葉の生育が早いため茶摘みも早く始まります。
日本で最も早く新茶の収穫が始まるのは鹿児島県の種子島で3月下旬頃です。
その後新茶前線は徐々に北上し鹿児島本土や宮崎県福岡県へと移っていきます。
日本有数のお茶の産地である静岡県では4月中旬から下旬にかけて茶摘みが本格化します。
このように南の産地から北の産地へとリレーのように収穫時期が移っていくため春の間各地から新茶の便りが届きます。
お茶の味は摘み取る「芽」によっても変わる
お茶の品質や味わいは、収穫時期だけでなく、どの部分の芽を摘み取るかによっても大きく変化します。
高品質なお茶を作るためには、柔らかい新芽を摘むことが重要で、一般的に先端の芯芽と、その下の2枚の葉を摘む「一芯二葉」が基本です。
特に玉露や高級煎茶などの高級茶では、柔らかい新芽だけを厳選して丁寧に摘む「手摘み」が行われます。
若く柔らかい芽ほど、旨味成分であるアミノ酸を多く含み、甘くまろやかな味わいになります。
一方で、成長して硬くなった葉は、渋み成分のカテキンが増え、さっぱりとした味わいになる傾向があります。
まとめ
茶摘みの時期は春から秋にかけて複数回あり、特に春に収穫される一番茶は最も品質が高いと評価されます。
収穫時期だけでなく、静岡などの産地の気候や、手摘みといった摘み取り方によってもお茶の味わいは変化するため、多様な風味を楽しむことができます。
例えば、2023年と2025年のお茶でも、その年の天候によって風味が異なる場合があります。
それぞれの年の違いを飲み比べてみるのも一興です。
手に入れたお茶は、その繊細な風味を損なわないよう、適切な方法での保存が風味を長持ちさせます。













