コラム

タンニンとは?ワインやお茶に含まれる成分の働きと健康効果を解説

2025.9.25

タンニンについて、ワインやお茶などに含まれる渋み成分として知られています。
この記事では、タンニンの基本的な情報から、その働きがもたらす健康への影響までを解説します。
タンニンには抗酸化作用や収れん作用といった多様な機能があり、私たちの体にさまざまなメリットをもたらす可能性があります。
一方で、摂取する際には注意点も存在するため、正しい知識を身につけて、日々の食生活に役立てていきましょう。

そもそもタンニンとは?渋みの正体であるポリフェノールの一種

タンニンは、植物の葉や樹皮、果実などに含まれるポリフェノールの一種で、口にしたときに感じる特有の渋みの正体です。
この渋みは、タンニンが舌や口の中の粘膜にあるタンパク質と結合し、変性させることで生じます。
苦味やえぐみとして感じられることもあり、食品の味に深みや複雑さを与える要素の一つです。
このタンパク質と結合する性質は古くから利用されており、動物の皮を丈夫で腐りにくい革製品へと加工する「なめし」の技術にも応用されてきました。
タンニンという名前も、皮をなめす(tan)という言葉に由来しています。
このように、タンニンは食品の味を構成するだけでなく、古くから人々の生活に利用されてきた成分です。

タンニンが持つ主な3つの作用と健康への影響

タンニンはその特有の性質から私たちの健康にさまざまな影響を与える機能を持っています。
主な作用として「抗酸化作用」「収れん作用」「殺菌・抗菌作用」の3つが挙げられます。
これらの作用はそれぞれが異なる役割を担い、生活習慣病の予防や肌の健康維持、腸内環境の改善といったメリットをもたらす可能性があります。
タンニンが持つこれらの多様な機能を理解することで、その健康への影響をより深く知ることができるでしょう。

1. 生活習慣病の予防につながる「抗酸化作用」

タンニンは、体内の活性酸素を除去する強い抗酸化作用を持つことで知られています。
活性酸素は、細胞を酸化させて老化やさまざまな病気の原因となる物質ですが、タンニンはこれを抑制する働きをします。
特に、血管の細胞が酸化されると、動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞といった生活習慣病のリスクが高まります。
タンニンの抗酸化作用は、血管の健康を保ち、これらの病気の予防に繋がる効果が期待されています。
ポリフェノールの中でもタンニンの抗酸化力は強いとされており、健康維持のために注目されている成分です。

2. 肌を引き締める効果が期待できる「収れん作用」

タンニンの収れん作用は、タンパク質を変性させて組織や血管を縮める働きのことです。
この作用は、肌の毛穴を引き締める効果があるため、収れん化粧水などのスキンケア製品に応用されています。
肌表面のタンパク質に作用することで、キメを整え、なめらかな肌へと導く効果が期待できます。
また、この作用は医療の分野でも利用されており、腸の粘膜に作用して下痢を止める止瀉薬としても用いられてきました。
目薬などにも利用されることがあります。
口に含んだ時の渋みも、この収れん作用によるもので、私たちの身近なところでその働きを実感することができます。

3. 腸内環境を整える「殺菌・抗菌作用」

タンニンには、細菌の増殖を抑える殺菌・抗菌作用があります。
この作用は、腸内環境において悪玉菌の活動を抑制し、善玉菌が優位な状態を保つのに役立ちます。
腸内フローラのバランスが整うことで、便通の改善や免疫機能の維持に繋がる効果が期待されます。
また、この抗菌作用は口腔内でも働き、虫歯の原因となるミュータンス菌の増殖を抑える効果も報告されています。
食後にお茶を飲む習慣は、口の中をさっぱりさせるだけでなく、歯の健康を守る上でも理にかなっていると言えます。
このように、タンニンは体内外で細菌から体を守る役割を担っています。

タンニンを豊富に含む代表的な食べ物・飲み物

タンニンは多くの植物性食品に含まれていますが、特に含有量が多い代表的なものとして、飲み物では赤ワイン、緑茶、紅茶、コーヒーが挙げられます。
食べ物では、柿や栗、バナナなどの果物のほか、大豆や小豆といった豆類にも豊富です。
特に柿の渋みは「シブオール」というタンニンの一種によるものです。
お茶の中でも、玉露や煎茶などの緑茶は特に多くのタンニンを含んでいます。
これらの食品を日常的に食事に取り入れることで、タンニンを効率的に摂取することが可能です。

タンニンの過剰摂取に注意!鉄分の吸収を妨げる可能性も

多くの健康効果が期待されるタンニンですが、過剰な摂取には注意が必要です。
タンニンには、食事に含まれる鉄分と結合して、体内への吸収を妨げてしまう性質があります。
特に、貧血気味の人や鉄分が不足しがちな人は、一度に多量のタンニンを摂取することは避けた方が良いでしょう。
食事中や食後すぐに濃い緑茶やコーヒーを飲むと、せっかく摂取した栄養である鉄分の吸収率が下がってしまう可能性があります。
食事と時間を空けて飲むなど、摂取のタイミングを工夫することが推奨されます。
健康のためには、どんな成分も適量を守ることが重要です。

タンニンとカテキンの関係性は?違いを分かりやすく解説

タンニンとカテキンは混同されやすいですが、化学的には異なる分類で捉えることができます。
タンニンは、複数のポリフェノールが結合した高分子化合物の総称であり、その構造によって「加水分解性タンニン」と「縮合型タンニン」に大別されます。
一方、カテキンはポリフェノールの一種ですが、単体の分子(モノマー)です。
そして、このカテキンが複数結合(重合)したものが縮合型タンニンと呼ばれます。
つまり、カテキンはタンニンを構成する成分の一つであり、タンニンという大きなグループの中にカテキンという小さな単位が含まれている、と理解すると分かりやすいでしょう。
構造の違いが、それぞれの性質や体内での働きにも影響を与えています。

まとめ

タンニンは植物由来のポリフェノールの一種で、特有の渋みを持つ成分です。
その働きは多岐にわたり、強い抗酸化作用による生活習慣病の予防、収れん作用による肌の引き締め効果、そして殺菌・抗菌作用による腸内環境の改善などが期待されています。
赤ワインやお茶、柿などに豊富に含まれており、日常的に摂取しやすい成分と言えます。
ただし、鉄分の吸収を妨げる可能性があるため、過剰な摂取は避ける必要があります。
タンニンを正しく理解し、その性質を活かして日々の健康管理に取り入れることが望ましいです。

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