コラム

お年賀の時期はいつまで?お歳暮との違いやのし・予算のマナー

2025.12.15

お年賀は、新年の挨拶とともに日頃の感謝を伝えるための大切な習慣です。
しかし、お年賀を贈る正しい時期がいつまでなのか、お歳暮とどう違うのか、予算はどのくらいが適切なのかなど、意外と知らないマナーも多いかもしれません。

この記事では、お年賀を贈る期間の目安から、のしの選び方、品物選びのポイントまで、基本的なマナーを分かりやすく解説します。

お年賀とは?新年の挨拶に贈るギフトの基本

お年賀とは、新しい年の始まりに、旧年中の感謝と「今年もよろしくお願いします」という気持ちを込めて贈る品物のことです。
本来は、新年の挨拶回りで直接相手の元へ訪問し、手渡しするのが正式なマナーとされています。

単なる贈り物ではなく、年始の挨拶という儀礼的な意味合いが強い点が特徴です。

お年賀を贈る時期はいつからいつまで?【松の内が目安】

お年賀を贈る適切な期間は、一般的に「松の内」と呼ばれる期間内です。
松の内とは、正月の門松を飾っておく期間を指します。
具体的には、元日(1月1日)から始まり、その終わりは地域によって異なります。

年始の挨拶で訪問するタイミングとしては、三が日(1月1日~3日)は相手方も忙しいことが多いため、避けた方が無難という考え方もあります。
贈る時期の目安を事前に確認しておくことが大切です。

関東と関西で異なる「松の内」の期間

松の内の期間は、地域によって違いが見られます。
一般的に関東地方では1月7日まで、関西地方では1月15日までとされることが多いです。
この違いは、江戸時代に幕府が出したお触れが関東を中心に広まり、関西では古くからの風習が残ったためといわれています。
そのため、お年賀を贈る相手が住む地域に合わせて期間を判断するのが丁寧な対応です。

近年では、全国的に1月7日までとする考え方も広まっていますが、迷った場合は相手の地域の慣習を確認すると良いでしょう。
他の地方でも独自の期間が設けられている場合もあります。

お年賀の時期を過ぎてしまったら「寒中見舞い」として贈ろう

もし、うっかりお年賀を松の内の期間に渡せなかった場合でも、贈り物をすることは可能です。
その際は、のし紙の表書きを「お年賀」から「寒中見舞い」または「寒中御伺」に変えて贈ります。
時期を過ぎてしまったからと諦めるのではなく、表書きを変えるだけで年始の挨拶として気持ちを伝えられます。

時期を過ぎたお年賀を贈るのはマナーに反するため、適切な対応が必要です。

寒中見舞いを贈る具体的な期間

寒中見舞いを贈る期間は、松の内が終わった翌日から立春の前日(2月3日頃)までが一般的です。
関東地方であれば1月8日から、関西地方であれば1月16日からが目安となります。
立春を過ぎてしまうと、今度は「余寒見舞い」として贈ることになるため、時期を逃さないよう注意が必要です。

また、寒中見舞いは、相手または自分が喪中の場合に、年賀状の代わりの挨拶状として送る際にも用いられます。
季節の挨拶として幅広い用途で使えるため、覚えておくと便利です。

お年賀とお歳暮の明確な違いとは?

年末に贈る「お歳暮」と年始に贈る「お年賀」は、どちらもお世話になった方へ感謝を伝える贈り物ですが、その目的や贈る時期には明確な違いがあります。
これらは日本の伝統的な習慣であり、それぞれの意味を理解することで、より気持ちが伝わる贈り方ができます。

混同されがちな二つの違いについて、具体的に見ていきましょう。

贈る時期と目的の違いを解説

お歳暮とお年賀の最も大きな違いは、贈る時期と目的です。
お歳暮は、一年間の感謝の気持ちを込めて、年末の12月13日から20日頃までに贈るのが一般的。
その起源は、年の暮れに先祖の霊をお迎えする「御霊祭り」のお供え物を、分家や嫁いだ娘が本家に持参した習慣にあるといわれます。

一方、お年賀は新年の神様へのお供え物が由来で、新年の挨拶として「今年もよろしくお願いします」という気持ちを伝えるために、年始の松の内に贈るものです。

お年賀とお歳暮は両方贈るべき?

日頃お世話になっている相手には、お歳暮とお年賀の両方を贈るべきか迷うかもしれません。

お歳暮は「今年一年の感謝」を伝えるもので、お年賀は「新年の挨拶」を意味するため、それぞれ異なる意味合いを持っています。一般的には両方贈ることが正しいとされていますが、どちらか一方を贈ることも、相手への配慮から選択肢となり得ます。

もし両方準備する場合は、お歳暮の方をより重視し、お年賀は年始の挨拶に持参する手土産程度の品物にするなど、品物に差をつけるのが良いでしょう。

付き合いの深さや慣習によって判断は異なりますが、どちらか一方にするのであれば、一年の感謝を伝えるお歳暮を優先する方が多いようです。 贈る品物の数よりも、感謝の気持ちを伝えることが重要です。

知っておきたいお年賀の基本マナー

お年賀は新年の挨拶という大切な意味合いを持つため、相手に失礼のないよう、いくつかの基本的なマナーやルールを守る必要があります。
訪問の仕方から品物の渡し方、喪中の際の対応まで、知っておくべきポイントは多岐にわたります。

これらのマナーをしっかりと押さえておくことで、相手への敬意を示し、良好な関係を築くことにつながります。

訪問日時のアポイントは事前に取る

お年賀は本来、手渡しをするのがマナーであるため、相手の自宅などへ直接訪問することになります。
その際、突然訪問するのは相手の都合を考えない失礼な行為にあたる可能性があります。

特に年始は、家族水入らずで過ごしていたり、他の来客があったりと忙しい時期です。
ビジネスシーンはもちろん、親しい間柄であっても、必ず事前に連絡を入れて訪問しても良い日時を確認しましょう。
訪問した際は長居はせず、挨拶とともにお年賀を渡したら早めに辞去するのがスマートです。

原則として手渡しが基本だが郵送も可能

お年賀は、新年の挨拶を直接伝えるという目的があるため、持参して手渡しするのが最も丁寧な渡し方です。
訪問時には、品物を紙袋や風呂敷から取り出し、相手に正面を向けて渡します。
しかし、遠方に住んでいたり、お互いの都合が合わなかったりする場合には、郵送で贈っても問題はありません。

郵送する場合は、品物だけを送りつけるのではなく、新年の挨拶を記したメッセージカードや挨拶状を添えるのがマナー。
品物が届くタイミングを見計らって、電話で挨拶を伝えるのも良い方法です。

相手もしくは自分が喪中の場合は贈るのを控える

自分か相手のいずれかが喪中(近親者が亡くなってから一年間)の場合、お祝い事であるお年賀を贈るのは控えるのがマナーです。
これは、お祝い事を意味する「賀」の字が入っているためです。
年賀状のやり取りや「おめでとうございます」という新年の挨拶も避けます。

もし年始の挨拶をしたい場合は、松の内が明けてから「寒中見舞い」として品物を贈るか、挨拶状を送るようにします。
知らずにお年賀を贈ってしまった、または受け取ってしまった場合は、お礼状などでその旨を伝えましょう。

お年賀に対するお返しは基本的に不要

お年賀は目下の人から目上の人への新年の挨拶として贈るのが基本であり、お祝いの意味合いが強いため、お返しは基本的に不要とされています。
お返しをすると、かえって相手に気を遣わせてしまうかもしれません。
お年賀をいただいたら、電話でお礼を伝えたり、後日お礼状を出したりするだけで十分です。

訪問してくださった方には、お茶やお菓子でおもてなしをすることがお返し代わりとなります。
子どもから手軽な品物をもらった場合には、お年玉を渡すという形で応えることもあります。

公務員など贈答が禁止されている相手もいるため注意

お年賀を贈る相手の立場によっては、贈り物が法律や社内規定で禁止されている場合があるため注意が必要です。
特に、国家公務員や地方公務員、政治家などは、利害関係者からの金銭や物品の受け取りが厳しく制限されています。
ビジネス上の関係がある相手に贈る際も、コンプライアンスの観点から贈答が禁止されているケースがあります。

トラブルを避けるため、事前に相手の職業や会社の規定を確認しておくと安心です。
また、結婚の仲人へは3年間贈るのが慣例とされていますが、関係性に応じて判断が求められます。

お年賀の品物選びで押さえるべき3つのポイント

新年の挨拶として贈るお年賀は、相手に喜んでもらえる品物を選びたいものです。
気の利いた贈り物をするためには、相手との関係性に応じた予算相場を理解し、新年らしい縁起物や実用的な品を選ぶのがポイントです。

また、人気の品がある一方で、贈り物として避けるべきアイテムも存在します。
ここでは、お年賀の品物選びで失敗しないための3つのポイントを解説します。

【ポイント1】相手との関係性で決まる予算相場

お年賀の予算相場は、一般的に2,000円~5,000円程度とされていますが、これは相手との関係性によって調整します。
例えば、友人やご近所の方へは2,000円~3,000円程度、親戚や特にお世話になっている上司、取引先へは3,000円~5,000円程度が目安です。
あまりに高価な品物は、かえって相手に気を遣わせてしまう原因になるため、相場の範囲内で選ぶのが無難。

お歳暮を贈っている場合は、それよりも少し金額を抑えるのが一般的です。
感謝の気持ちを表す贈り物なので、無理のない範囲で予算を立てることが肝心です。

【ポイント2】新年らしい縁起物や日持ちするお菓子が定番

お年賀の品物は、新年を祝う気持ちが伝わる縁起の良いものが定番です。
その年の干支をモチーフにしたお菓子や置物、タオルなどは特に人気があります。
また、年始は家族や親戚が集まる機会が多いため、皆で分け合える個包装のお菓子や、日持ちのする焼き菓子の詰め合わせも喜ばれます。

お酒が好きな方にはビールや日本酒、お子さんがいるご家庭にはジュースのセットなど、相手の家族構成や好みを考慮して選ぶと良いでしょう。
相手の好みがわからない場合は、どなたでも使える上質なタオルなども実用的な選択肢です。

【ポイント3】刃物やハンカチなど避けるべき品物

お祝い事の贈り物では、縁起が悪いとされる品物は避けるのがマナーです。
例えば、包丁やハサミなどの刃物は「縁を切る」ことを連想させます。
ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」と書くため「手切れ」の意味合いを持つとされ、お祝いの贈り物には不向きです。

また、靴や靴下、スリッパなどの履物は「相手を踏みつける」という意味に取られかねないため、特に目上の方へ贈るのは失礼にあたります。
相手の健康を願う場面で、これらの品物を選ぶのは避けましょう。

お年賀にふさわしい「のし紙」の書き方と選び方

お年賀の品物には、のし紙を掛けるのが正式なマナーです。
のし紙には水引の種類や表書きの書き方など、守るべき決まりごとがあります。
これらを正しく理解し、用途に合わせて使い分けることは、相手への敬意を示す上でとても重要です。

お年賀にふさわしいのし紙の選び方と、表書きの書き方の基本をしっかりと押さえておきましょう。

水引は紅白の「蝶結び」を選ぶ

お年賀に使用するのし紙の水引は、紅白の「蝶結び(花結び)」を選びます。
蝶結びは、何度でも結び直すことができる形状から、「何度繰り返しても良いお祝い事」に用いられます。
新年の挨拶であるお年賀は、来年、再来年と良いお付き合いを続けたいという願いを込めるため、蝶結びが最適です。

結婚祝いなどで使われる「結び切り」は、固く結ばれて解けないことから「一度きりであってほしいこと」を意味するため、お年賀には使いません。
水引の色は紅白で、本数は5本か7本のものを選び、表書きとして「御年賀」などと記載します。

表書きは「御年賀」または「御年始」と書く

のし紙の水引の上段中央には、贈り物の目的を示す「表書き」を記載します。
お年賀の場合は、毛筆や筆ペンを使い、濃い墨で「御年賀」または「御年始」と書くのが一般的です。
この時、「賀正」「迎春」などの2文字の賀詞は、簡略的な表現とされ、目上の方に使うと失礼にあたるため使用を避けます。

水引の下段には、表書きより少し小さな文字で贈り主の名前をフルネームで書きます。
会社名を入れる場合は、名前の右側に小さめに記載するのが通例です。
次にお会いする際にも気持ちの良い関係を築けるよう、正しい書き方を心がけます。

まとめ

お年賀を贈る時期は、松の内と呼ばれる期間が目安です。
関東では1月7日まで、関西では1月15日までが一般的ですが、地域によって差があるため事前に確認すると安心です。
万が一時期を過ぎてしまった場合は「寒中見舞い」として贈ります。

お歳暮との違いは、感謝を伝える時期と目的にあります。
品物を選ぶ際は、相手との関係性を考慮した予算で、縁起物や日持ちするお菓子といった定番品が好まれます。
のし紙は紅白の蝶結びを選び、表書きは「御年賀」とするのがマナーです。
これらのポイントを押さえ、気の利いた新年の挨拶で良好な関係を築きましょう。

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