コラム

抹茶の効能と健康効果|目にも良い?1日の摂取目安まで解説

2025.10.22

抹茶はその豊かな風味だけでなく、多くの健康効果で注目を集めています。
抗酸化作用やリラックス効果など、抹茶の効果は多岐にわたりますが、最近では目の健康維持に役立つ可能性も指摘されています。

この記事では、抹茶が持つ効能を科学的な根拠と共に詳しく解説し、効果を最大限に得るための1日の摂取目安についても紹介します。

抹茶は栄養豊富!緑茶との違いと健康に良い理由

抹茶と緑茶は同じ茶の木から作られますが、栄養の摂取効率に大きな違いがあります。
緑茶がお湯に溶け出した成分のみを飲むのに対し、抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲むため、葉に含まれる全ての栄養素を摂取できるのが特徴です。

この製法の違いこそが、抹茶が持つ多様な健康機能の源となっているのは間違いありません。

抹茶の効能を支える5つの主要な栄養成分

抹茶の健康効果は、含まれる多様な栄養成分の働きによるものです。
特にカテキンやテアニンといった成分は、心身に多くのメリットをもたらします。
ポリフェノールの一種であるカテキンは、フラボノイド類に分類され、強力な抗酸化作用を持ちます。

ここでは、抹茶の効能を支える主要な5つの成分とその働きについて詳しく見ていきます。

抗酸化作用で注目される「カテキン」

抹茶の渋みの主成分であるカテキンは、ポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。この作用により、体内の過剰な活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐ働きが期待されます。活性酸素は、老化や生活習慣病など、さまざまな身体の不調の原因となると考えられています。カテキンには複数の種類があり、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)は抗酸化活性が非常に高いとされています。

抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲むため、抽出して飲む煎茶などと比較して、一部の栄養成分をより多く摂取できる可能性があります。例えば、抹茶は煎茶の約2~3倍のカテキンを含むという報告や、テアニン、ビタミンEなどの含有量も煎茶より多いという情報があります。一方で、栽培方法によってはカテキンが少ない傾向にある高級な抹茶もあるとされています。カテキンを多く摂取するという点では、露地栽培で育てられた煎茶(特に二番茶、三番茶)が効率的であるという見解もあります。

この強力な抗酸化作用が、抹茶の健康効果の根幹をなす要素の一つです。

リラックス効果を生み出す「テアニン」

テアニンは、お茶、特に玉露や抹茶などの高級茶に豊富に含まれるアミノ酸の一種です。
この成分は、抹茶特有の旨味や甘みの源であり、心身をリラックスさせる効果があることで注目されています。
テアニンを摂取すると、脳内でアルファ波というリラックス状態の時に現れる脳波が増加することが報告されています。

これにより、緊張が和らぎ、穏やかな気持ちになる効果が期待できます。
ストレス社会で生活する現代人にとって、テアニンがもたらす心安らぐひとときは、精神的な健康を保つ上で大きな助けとなります。
抹茶を飲むことで得られる、落ち着いた「和」の感覚は、このテアニンの働きによる部分が大きいと考えられます。

美肌づくりをサポートする「ビタミン類」

抹茶には、美しい肌を保つために欠かせないビタミン類も豊富に含まれています。
特に注目すべきは、ビタミンC、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンEです。
ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、肌のハリを保つ働きや、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制する作用があります。

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持し、肌の乾燥を防ぐのに役立ちます。
また、強力な抗酸化作用を持つビタミンEは、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、細胞の酸化を防いで肌の老化を遅らせる効果が期待されます。
これらのビタミン類を同時に摂取できる抹茶は、内側から健やかな肌づくりをサポートする飲み物と言えます。

腸内環境を整える「食物繊維」

抹茶は茶葉をまるごと粉末にしているため、水に溶けない不溶性の食物繊維を豊富に含んでいます。
この食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やすことで腸のぜん動運動を活発にします。
これにより、便通が促進され、便秘の改善に役立つことが期待されます。

また、食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きもあります。
腸内環境が整うと、便通改善だけでなく、免疫力の向上や肌荒れの改善など、全身の健康にも良い影響をもたらします。
日常の食生活で不足しがちな食物繊維を、抹茶を飲むことで手軽に補うことが可能です。

集中力向上に役立つ「カフェイン」

抹茶にはコーヒーと同様にカフェインが含まれており、中枢神経を刺激して眠気を覚まし、集中力や注意力を高める効果があります。
カフェインは、疲労感を感じさせるアデノシンという物質の働きをブロックすることで、覚醒作用をもたらします。
仕事や勉強の合間に抹茶を一杯飲むことで、頭がすっきりとし、作業効率の向上が期待できます。

ただし、抹茶に含まれるカフェインは、後述するテアニンの働きによってその作用が穏やかになると言われています。
そのため、コーヒーを飲んだ時のような急激な覚醒感ではなく、落ち着いた状態で集中力を高めることができるのが特徴です。

身体に嬉しい!抹茶に期待される健康上の効能

抹茶に含まれる豊富な栄養成分は、私たちの身体にさまざまな健康上の良い効果をもたらすことが期待されています。
抗酸化作用による老化防止から、ダイエットサポート、生活習慣病の予防まで、その効能は多岐にわたります。

ここでは、科学的な研究で示唆されている抹茶の具体的な健康効果について、項目ごとに詳しく解説していきます。

老化の進行を緩やかにする抗酸化作用

人間の体は、呼吸によって取り入れた酸素の一部が活性酸素に変化します。
この活性酸素が過剰に増えると、細胞を傷つけ、老化やさまざまな病気の原因となります。
抹茶に豊富に含まれるカテキンやビタミンEは、強力な抗酸化作用を持ち、この活性酸素の働きを抑制します。

細胞の酸化ダメージを防ぐことで、肌のシワやシミといった見た目の老化だけでなく、体内の機能低下の進行を緩やかにする効果が期待できます。
日常的に抹茶を摂取することは、体の中から若々しさを保つための有効な手段となり得ます。
茶葉を丸ごと飲む抹茶は、抗酸化成分を効率的に摂取できるため、アンチエイジングに関心がある方におすすめです。

脂肪の燃焼を助けるダイエットサポート効果

抹茶に含まれるカテキンは、ダイエットをサポートする効果があるとして注目されています。
カテキンには、食事で摂取した脂肪の吸収を穏やかにする働きや、体内に蓄積された脂肪の燃焼を促進する作用があることが研究で示唆されています。
特に、運動と組み合わせて抹茶を摂取することで、エネルギー消費量が高まり、より効率的な脂肪燃焼が期待できます。

また、抹茶に含まれるカフェインにも脂肪燃焼を助ける働きがあります。
ただし、抹茶を飲むだけで痩せるわけではなく、あくまでもバランスの取れた食事や適度な運動と組み合わせることが、健康的なダイエットの鍵となります。
生活習慣を見直す一環として抹茶を取り入れるのが良い方法です。

生活習慣病のリスクを低減させる働き

生活習慣病の予防にも、抹茶の効能が期待されています。
抹茶に含まれるカテキンには、血中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪の上昇を抑える働きがあることが報告されています。
これらの脂質異常は、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患につながる可能性があります。

また、カテキンには血糖値の急激な上昇を抑える作用もあるとされ、糖尿病の予防にも役立つ可能性が考えられます。
さらに、血圧の上昇を抑制する効果も示唆されています。
これらの作用が複合的に働くことで、生活習慣病全体のリスクを低減させることにつながります。
日々の食生活に抹茶を取り入れることは、長期的な健康維持のための手軽な習慣となり得るのです。

免疫機能を助け風邪を予防する効果

抹茶に含まれるカテキンやビタミンCは、免疫機能をサポートする働きがあり、風邪の予防に役立つとされています。
カテキンには強力な抗菌・抗ウイルス作用があり、体内に侵入しようとする細菌やウイルスの増殖を抑制する効果が期待されます。
特に、エピガロカテキンガレート(EGCG)は、インフルエンザウイルスの働きを弱めることが研究で示されています。
また、ビタミンCは白血球の働きを助け、免疫システム全体の機能を高めるために不可欠な栄養素です。

さらに、テアニンには免疫抑制を緩和する働きがあるとも言われています。
これらの成分を豊富に含む抹茶を日常的に飲むことで、体の抵抗力を高め、風邪をひきにくい体づくりをサポートすることが可能です。

目の健康を維持する成分も含まれる

抹茶には目の健康維持に役立つとされる成分も含まれています。
特に注目されるのが、ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンです。
ビタミンAは、目の網膜で光を感じるために必要なロドプシンという物質の主成分であり、夜間の視力を維持する働きや、目の乾燥を防ぐ役割を担っています。

また、抹茶の鮮やかな緑色のもとであるクロロフィルや、抗酸化作用を持つカテキン、ビタミンC、ビタミンEなども、目の細胞を酸化ストレスから守るのに役立つと考えられます。
高品質な抹茶の産地として知られる京都の宇治などで作られる抹茶は、これらの栄養素を豊富に含んでいます。
現代人はスマートフォンやパソコンの使用で目を酷使しがちですが、抹茶を飲む習慣は目の健康をサポートする一助となる可能性があります。

口内の細菌増殖を抑え口臭を予防

抹茶に含まれるカテキンには、優れた抗菌・殺菌作用があり、口臭の予防にも効果が期待できます。
口臭の主な原因の一つは、口の中にいる細菌が食べ物のカスなどを分解する際に発生させる揮発性硫黄化合物です。
カテキンは、この原因菌の増殖を抑制する働きを持っています。
また、カテキン自体に消臭効果もあるため、口臭の原因物質を直接的に減少させることも期待されます。

食後に抹茶を一杯飲むことで、口の中をさっぱりさせ、口臭を抑えることができます。
ガムやタブレットなどの一時的な対策とは異なり、原因菌にアプローチするため、より根本的な口臭ケアにつながる可能性があります。
お茶の産地では古くから食後にお茶を飲む習慣がありますが、これには口内環境を整えるという合理的な側面もあるのです。

心にも作用する!抹茶がもたらす精神的な効果

抹茶は身体的な健康だけでなく、心にも穏やかな作用をもたらします。
特有の旨味成分であるテアニンにはリラックス効果があり、カフェインには集中力を高める働きがあります。

この二つの成分がバランス良く作用することで、心に落ち着きと活力をもたらすのです。
暑い日には水出しやアイスで抹茶を楽しむことで、清涼感と共に精神的なリフレッシュ効果も得られます。

テアニンの働きによるストレス軽減とリラックス効果

抹茶の旨味成分であるテアニンは、ストレス軽減とリラックス効果において中心的な役割を果たします。
テアニンを摂取すると、脳内でリラックス状態の指標となるα波が増加し、心身の緊張を和らげることが科学的に示されています。
これにより、不安感が軽減され、穏やかで落ち着いた気分になります。

また、テアニンは睡眠の質を向上させる効果も報告されており、寝る前に飲むことで深い眠りを促す助けとなる場合があります。
カフェインの覚醒作用を穏やかにする働きもあるため、抹茶を飲むと落ち着きながらも集中できるという独特の状態がもたらされます。
温かい抹茶はもちろん、牛乳と合わせた抹茶ラテなどでもテアニンの効果は得られるため、気分に合わせて飲み方を変えてリラックスタイムを過ごすのも良いでしょう。

カフェインによる集中力と注意力の向上

抹茶に含まれるカフェインは、脳の中枢神経を刺激し、眠気や疲労感を軽減して集中力や注意力を高める働きがあります。
この覚醒作用により、仕事や学習のパフォーマンス向上が期待できます。
抹茶のカフェインは、テアニンの効果によって作用が穏やかになるため、コーヒーのように急激な興奮状態になることは少なく、落ち着いた覚醒感を得られるのが特徴です。

また、カフェインは血行を促進する作用もあり、脳への酸素供給を増やして思考をクリアにする助けにもなります。
抹茶にレモンを加えると、ビタミンCの吸収率が高まるだけでなく、さっぱりとした風味で気分転換にもなります。
重要な会議や試験の前に一杯の抹茶を飲むことは、集中力を高めるための有効な習慣となり得ます。

抹茶の効能を最大限に活かすための注意点

多くの健康効果が期待できる抹茶ですが、その効能を最大限に活かし、安全に楽しむためにはいくつかの注意点があります。
特にカフェインの摂取量には気を付ける必要があります。

また、抹茶にも種類があり、例えば玄米を加えた玄米茶とは成分が異なるため、目的に応じて選ぶことも重要です。
ここでは、抹茶を飲む際に知っておきたいポイントと、1日あたりの適正な摂取量について解説します。

カフェインの摂りすぎで起こりうる体調不良とは

抹茶に含まれるカフェインは適量であれば集中力向上などのメリットがありますが、過剰に摂取すると体調不良を引き起こす可能性があります。
代表的な症状としては、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠などが挙げられます。
また、カフェインには胃酸の分泌を促進する作用があるため、胃が弱い人が空腹時に飲むと胃痛や不快感を感じることもあります。

さらに、カフェインの持つ利尿作用により、頻繁にトイレに行きたくなったり、水分補給が不十分な場合には脱水症状につながるリスクも考慮しなくてはなりません。
特に、妊娠中や授乳中の方、子ども、カフェインに敏感な体質の方は摂取量に注意が必要です。
自分の体調を観察しながら、適量を楽しむのが望ましいでしょう。

抹茶の1日あたりの適正な摂取量の目安

抹茶の1日あたりの適正な摂取量に明確な定義はありませんが、含有されるカフェインの量を基準に考えるのが一般的です。
健康な成人の場合、カフェインの1日の最大摂取量は400mg程度が目安とされています。
抹茶一杯(薄茶、約2gの抹茶を使用)に含まれるカフェインは約60mgなので、1日に2〜3杯程度であれば多くの場合問題ないと考えられます。

ただし、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなど他のカフェインを含む飲料を飲む場合は、その分も考慮して全体の摂取量を調整する必要があります。
また、妊娠中の方は200mgまでが目安とされているため、1日に1杯程度に留めておくのが賢明です。
自分の体質やその日の体調に合わせて量を加減し、健康効果を享受するのが望ましい飲み方です。

まとめ

抹茶は、茶葉を丸ごと粉末にすることで、カテキン、テアニン、ビタミン、食物繊維などの栄養素を効率的に摂取できる飲料です。
これらの成分は、抗酸化作用による老化防止、脂肪燃焼のサポート、生活習慣病リスクの低減、リラックス効果、集中力向上など、心身に多岐にわたる効能をもたらす可能性が示されています。
また、目の健康維持や口臭予防といった効果も期待できます。

ただし、カフェインが含まれているため、過剰摂取は体調不良の原因となり得ます。
1日の摂取目安量を参考に、自身の体調に合わせて適量を取り入れることで、抹茶が持つ健康上の利点を享受することができるでしょう。

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