コラム

抹茶とは?抹茶の基礎知識と美味しく抹茶の点て方について詳しく解説

2025.8.15

抹茶に興味をお持ちの皆様へ、抹茶の基礎知識から歴史、健康効果、さらには自宅で美味しく点てる方法、活用法まで、抹茶の魅力について網羅的に解説します。
抹茶について知りたい全ての方に役立つ知識を提供いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

抹茶の基本

抹茶の基本を簡単に説明すると、日本で古くから親しまれてきた粉末状の緑茶の一種です。独特の風味と鮮やかな緑色が特徴で、茶道だけでなく、近年では様々な飲み物や料理にも活用されています。
この章では、抹茶の定義や原料、特性、種類について詳しく見ていきましょう。

抹茶の定義について

抹茶とは、茶葉を蒸して揉まずに乾燥させ、石臼等で微粉末状にした緑茶の一種を指します。
一般社団法人日本抹茶協会や公益社団法人日本茶業中央会によると、「茶の生葉を蒸し、揉まずに乾燥した茶葉(碾茶)を石臼等で微粉末状に製造したもの」と定義されています。厳密な抹茶の定義は業界団体が自主的に定めているのが現状であり、国際標準化機構(ISO)においても定義の検討が進められています。
世間には本来の定義を満たさない「粉末茶」も「抹茶」として流通していることがあり、これらは菓子や料理の素材として広く用いられています。
正真正銘の抹茶は、摘採の2~3週間前から茶畑を覆い、日光を遮って栽培された碾茶(てんちゃ)という茶葉を原料としています。この覆い下栽培によって、茶葉は「覆い香」と呼ばれる豊かな香りを持ち、渋みが少なく、甘みのあるお茶に育つのです。この抹茶の意味を理解することで、より深く抹茶の文化を楽しめるでしょう。

抹茶の原料とは

抹茶の原料は「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれる特別な茶葉です。
碾茶は、茶摘みの2~3週間ほど前から茶畑に覆いを被せ、日光を遮って育てられます。この覆い下栽培によって、茶葉に含まれるアミノ酸の一種であるテアニンがカテキンに変化するのを抑えられ、甘みや旨みが豊富な茶葉に育ちます。
一方、煎茶などの一般的な緑茶は、日光を十分に浴びせて育てられた茶葉を蒸し、揉んで乾燥させる製法が用いられます。抹茶と緑茶、特に煎茶との違いは、この栽培方法と加工方法にあります。
抹茶の原料である碾茶は、蒸した後に揉まずに乾燥させ、茎や葉脈を取り除いて葉肉部分だけを選り分けます。そして、仕立てられた碾茶を石臼で丁寧に挽くことで、きめ細やかな粉末状の抹茶となるのです。
このように、抹茶の原料は栽培から加工まで独自の工程を経て作られており、一般的な緑茶や煎茶とは異なる特徴を持っています。抹茶は茶葉を丸ごと摂取するため、栄養を余すことなく取り入れることができるという利点もあります。

抹茶の特性

抹茶の特性は、その独特の風味と鮮やかな色合いにあります。
良質な抹茶は、口に含んだ瞬間の豊かな香りと、その後に広がる旨みと甘みが特徴です。抹茶の味の違いは、最初に感じる苦味や渋みの後に、アミノ酸(特にテアニン)による自然な甘みが続くことにあります。この甘みと苦味、渋みのバランスが、抹茶の持つ奥深さや良さを生み出しています。
特に高品質な抹茶は、飲んだ後に不快な渋みが残らず、すぐに甘みや旨みに変化していくのが特徴です。強い渋みが長く残る場合は、若い茶葉や粗悪な茶葉が使用されている可能性があります。また、抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲むため、茶葉の栄養素を余すことなく摂取できるという利点も持っています。
鮮やかな緑色も抹茶の重要な特性の一つであり、上級品ほどその色は濃く、美しくなります。これは、覆い下栽培によって葉緑素が増加するためです。温度や湿度が高いと変質しやすいため、保存にも注意が必要です。

抹茶の種類

抹茶は大きく分けて、濃茶と薄茶の2種類があります。
濃茶は、少なめのお湯で抹茶を練るため、とろりとした濃厚な味わいが特徴で、茶道における格式高いお茶会で用いられます。
一方、薄茶は濃茶よりも多くの湯で点てるため、さらりとした口当たりで、日常的に気軽に楽しむことができます。抹茶は、その品質によってもランクが分かれており、上級になるほどまろやかで旨味が増し、深みとコクのある繊細な風味になります。高価な抹茶は、渋みや苦みが少なく、水色も鮮やかな美しい緑色をしています。反対に、安価な抹茶は香りや風味が控えめで、渋みや苦みが強く感じられることがあります。
抹茶の選び方としては、まず用途に合わせて選ぶことが重要です。茶道で濃茶として使う場合は高級な銘柄を、日常で薄茶として楽しむ場合は、比較的安価でも品質の良いものを選ぶと良いでしょう。抹茶の選び方として、ブランドや産地も目安になります。例えば、京都の宇治や愛知の西尾は抹茶の主要産地として知られています。品種では、「やぶきた」「ごこう」「おくみどり」などがあり、それぞれに異なる風味の特性を持っています。これらの知識を参考に、お好みに合う抹茶を見つけてみましょう。

抹茶の歴史と健康効果

抹茶の歴史は古く、そのルーツは中国にまで遡ります。日本へ伝来してからは独自の文化として発展し、多くの人々に親しまれてきました。抹茶には様々な健康効果があることも知られています。この章では、抹茶の歴史と、抹茶がもたらす健康作用について詳しく見ていきましょう。

抹茶の歴史を知る

抹茶が中国で広く普及したのは宋の時代(960年~1279年)とされています。日本へは、820年頃に遣唐使や留学僧によって中国から「お茶」が伝えられましたが、当時は薬や健康のための飲料として扱われ、貴族などの上流階級しか飲むことができない貴重な存在でした。
一般の人々にお茶が普及したのは、1191年頃に臨済宗の開祖である栄西禅師が中国から茶の種子を持ち帰り、その効用を説いた「喫茶養生記」を著してからです。栄西禅師は、京都郊外の栂尾・高山寺の明恵上人に茶の種子を分け与え、明恵上人は宇治をはじめとする各地に茶の種を播き、茶の普及に大きな役割を果たしました。
これにより、お茶は禅宗のお寺を中心に広まり、座禅の合間などに抹茶を飲む「茶礼」という習慣が生まれ、禅の思想と深く結びついていきました。
特に京都は、抹茶を飲み物としてだけでなく、精神性や美意識を兼ね備えた「茶の湯」として発展させ、日本の文化に大きく貢献した場所です。室町時代には、村田珠光によって「侘茶」の精神が見出され、武野紹鴎によって確立されました。その後、安土桃山時代には千利休によって「わび茶」の様式が確立され、武士階級にも広まっていきました。
このように、抹茶は中国から伝来し、日本の風土の中で独自の発展を遂げ、京都を中心に茶の湯文化として受け継がれてきたのです。現在でも京都には多くの老舗茶舗があり、伝統の味を守り続けています。

抹茶の健康作用

抹茶にはカテキン、カフェイン、テアニン、ビタミン類、食物繊維など、様々な栄養素が豊富に含まれており、多様な健康作用が期待できます。
特に注目されるのがポリフェノールの一種であるカテキンです。カテキンには、抗酸化作用、血糖値の上昇抑制作用、体脂肪の燃焼促進、脂肪吸収の抑制、抗ウイルス作用、虫歯予防、口臭予防などの効果が期待できます。例えば、食事で摂取した油の吸収を抑制したり、体脂肪の燃焼を促したりする効果があるため、ダイエットに関心がある方にも嬉しい利点があります。また、カテキンに含まれるフラボノイドは口臭予防にも効果的です。さらに、抹茶に含まれるテアニンというアミノ酸は、リラックス効果やストレス軽減効果があることが知られています。その他、食物繊維も豊富に含まれているため、腸内環境を整える効果も期待できます。
抹茶は茶葉を丸ごと摂取するため、これらの栄養素を余すことなく体内に取り入れることができる良さがあります。様々な健康上の利点を持つ抹茶を日常的に取り入れることは、健康的な生活を送る一助となるでしょう。

抹茶の美味しい点て方と道具

抹茶を美味しく点てるには、いくつかのポイントと適切な道具が必要です。茶道というと敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、自宅で手軽に楽しむための方法もあります。
この章では、抹茶を点てるための道具から、美味しい点て方の手順まで、具体的に解説していきます。

抹茶を点てるための道具

抹茶を点てるためには、いくつかの基本的な道具があると便利ですが、茶道のように本格的なものを全て揃える必要はありません。自宅で手軽に楽しむのであれば、以下の道具があれば十分です。
まず、抹茶を点てるために最も重要なのが「茶筅(ちゃせん)」です。これは抹茶を均一に混ぜ、きめ細やかな泡を立てるために不可欠な竹製の道具です。茶筅の穂数が多いほど、きめ細かい泡が立ち、クリーミーな仕上がりになります。薄茶を楽しむなら、80本立や100本立がおすすめです。
次に、「抹茶茶碗」ですが、専用の茶碗がなくても、カフェオレボウルなど、口が広くて深さのある器で代用できます。夏には耐熱のガラス製の平茶碗も涼しげです。
抹茶の量を計る「茶杓(ちゃしゃく)」も、小さじスプーンで代用可能です。小さじすりきり1杯で約2gの抹茶を目安とします。
抹茶を点てる前にダマを防ぐために使う「茶こし」もあると良いですが、もしなければ、後述の点て方の手順で工夫することもできます。これらを揃えることで、自宅でも簡単に、そして本格的な抹茶の点てを楽しむことができます。

美味しい抹茶の点て方の手順

美味しい抹茶の点て方にはいくつかのコツがありますが、ここでは自宅で気軽にできる基本的な手順をご紹介します。
まず、準備として抹茶を茶こしでふるっておきましょう。このひと手間でダマができにくくなり、なめらかな抹茶に仕上がります。茶こしがない場合は、後で少量の水で抹茶を練り合わせることで代用できます。
次に、抹茶茶碗と茶筅を温めます。茶碗に熱湯を注ぎ、茶筅の穂先を浸して温めておくと、茶碗が冷めるのを防ぎ、茶筅の穂が折れにくくなります。温まったら、茶碗のお湯は捨てて水気を拭き取ります。
抹茶は一人分約1.5g~2g(茶杓で山盛り2杯、ティースプーンで軽く1杯)が目安です。茶碗に抹茶を入れたら、約70mlのお湯を注ぎます。お湯の温度は75℃~85℃が適温で、熱すぎると苦味や渋みが強く出てしまうので注意が必要です。
茶筅での点て方は、まず茶筅の穂先を茶碗の底に軽く付け、抹茶が均一に混ざるようにゆっくりと練り始めます。粉っぽさがなくなったら、茶筅を底から少し浮かせて、手首のスナップを利かせながら「M」の字を書くように素早く前後に動かし、泡立てていきます。泡が細かくなってきたら、茶筅の先を泡の表面まで上げ、ゆっくりと動かして泡を整えます。最後に、中央に泡が盛り上がるように、静かに茶筅を「の」の字を描くように引き上げれば完成です。このやり方を実践することで、ご自宅でも本格的な抹茶の味と香りを存分に楽しめます。

抹茶の活用方法

抹茶はそのまま飲むだけでなく、様々な方法で楽しむことができます。
鮮やかな緑色と独特の風味は、料理やお菓子、ドリンクなど、幅広いジャンルで活躍します。ここでは、抹茶の様々な活用方法をご紹介します。
抹茶を最も手軽に楽しめる活用方法の一つが「抹茶ラテ」です。抹茶ラテは、抹茶のほろ苦さとミルクのまろやかさが絶妙にマッチし、カフェのような本格的な味わいを自宅で手軽に楽しめます。
基本的な作り方は、まず抹茶と少量の熱湯を混ぜて抹茶液を作り、そこに温めた牛乳を注ぐだけです。甘みを加えたい場合は、砂糖や和三盆糖、きび砂糖などを加えると良いでしょう。茶筅がなくても、スプーンやミルクフォーマー、または蓋付きの容器でシェイクするだけでも簡単に抹茶ラテを作ることができます。夏場は、作った抹茶液を冷やし、氷と冷たい牛乳を注げば、アイス抹茶ラテとして楽しめます。
また、抹茶はドリンク以外にも、お菓子作りの材料として非常に人気があります。
抹茶パウンドケーキ、抹茶クッキー、抹茶ティラミス、抹茶プリン、抹茶トリュフなど、様々なスイーツに活用できます。抹茶の鮮やかな色合いは、お菓子に彩りを添えるだけでなく、独特の風味とほろ苦さが全体の味を引き締めます。
さらに、抹茶は料理のアクセントとしても活用できます。天ぷらの抹茶塩や、揚げ物、サラダの隠し味として使うことで、風味豊かな一品に仕上がります。
このように、抹茶は飲むだけでなく、アイデア次第で様々な活用方法があり、日々の食卓を豊かにしてくれます。

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