コラム

ジャスミン茶のベースは緑茶だった!原料となるお茶の種類や煎茶との違い

2025.11.11

ジャスミン茶はその華やかな香りで人気ですが、その多くが緑茶をベースに作られていることをご存知でしょうか。
このお茶は、茶葉にジャスミンの花の香りを移して作られるフレーバーティーの一種です。

この記事では、ジャスミン茶の原料となるお茶の種類や、日本の食卓でおなじみの煎茶との違いを比較しながら、その製法や魅力について詳しく解説します。

ジャスミン茶は緑茶に花の香りを付けたお茶

ジャスミン茶は、茶葉そのものからジャスミンの香りがするのではなく、緑茶などの茶葉にジャスミンの花の香りを吸着させて作られる「着香茶」またはフレーバーティーに分類されます。
茶葉が持つ香りを吸収しやすい性質を利用した、伝統的な製法によって生み出されるお茶です。

そのため、ジャスミン茶は緑茶が持つすっきりとした味わいと、ジャスミンの甘くエキゾチックな香りの両方を楽しむことができます。

ベースになる茶葉は緑茶以外にもある

ジャスミン茶のベースとして最も一般的に使用されるのは緑茶ですが、使われる茶葉はそれだけではありません。
他にも、発酵度が低いウーロン茶や白茶をベースにしたものも存在します。
緑茶ベースのものは爽やかでキレのある味わいになり、ウーロン茶ベースのものはよりコクと深みが感じられます。

白茶ベースのものは、繊細で上品な味わいに仕上がります。
稀にほうじ茶が使われることもあり、ベースとなる茶葉の種類によって、同じジャスミン茶でも風味や飲み口が大きく異なるのが特徴です。

日本の一般的な煎茶との違いは香りの有無

ジャスミン茶と日本の煎茶は、どちらも緑茶を原料とすることが多い点で共通していますが、決定的な違いは香りの付け方にあります。
煎茶は、茶葉そのものが持つ爽やかな香りや旨み、程よい渋みといった風味をそのまま楽しむお茶です。

一方、ジャスミン茶は茶葉にジャスミンの花の香りを後から加えることで、全く異なる華やかな香りをまとわせています。
つまり、茶葉本来の風味を味わうのが煎茶、茶葉をベースに別の香りを加えて楽しむのがジャスミン茶という点が大きな違いです。

ジャスミン茶の華やかな香りが生まれる仕組み

ジャスミン茶の最大の特徴である、うっとりするような甘く華やかな香りは、どのようにして生まれるのでしょうか。
この独特な風味は、茶葉が持つ性質を利用した伝統的な製法によって、手間と時間をかけて丁寧に作られます。

茶葉に花の香りを移す「着香」と呼ばれる工程が、ジャスミン茶ならではの豊かな風味を生み出す鍵となっています。

茶葉とジャスミンの花を交互に重ねて香り付け

ジャスミン茶の香り付けは、「窨花(いんか)」と呼ばれる伝統的な製法で行われます。
これは、乾燥させた茶葉と、香りが最も強くなる夜に摘み取られたジャスミンの生花を交互に何層にも重ねて、一晩置くという作業です。

この工程により、茶葉が持つ香りを吸収しやすい性質を利用して、ジャスミンの花の香りを自然に移していきます。
香りを移し終えた後の花は、品質を保つために手作業で丁寧に取り除かれます。
この手間のかかる作業が、ジャスミン茶特有の優雅な香りを生み出します。

香りの強さは香り付けの回数で決まる

ジャスミン茶の香りの強さや品質は、窨花(いんか)の工程を何回繰り返すかによって決まります。
一度香り付けに使った花は二度と使わず、新しい花に入れ替えてこの作業を繰り返します。
回数を重ねるほど、茶葉にはより深く、豊かで上品な香りが染み込んでいくのです。

高級なジャスミン茶になるほど、この香り付けの回数が多くなる傾向にあります。
そのため、製品によって香りの強さや風味の質が異なり、価格にも反映される重要な要素となっています。

沖縄の「さんぴん茶」とジャスミン茶は同じもの?

沖縄県で日常的に飲まれている「さんぴん茶」は、ジャスミン茶とよく似た香りと味わいを持っています。
そのため、この二つのお茶が同じものなのか、それとも違うものなのか疑問に思う人も少なくありません。

名前は異なりますが、そのルーツや製法を比較してみると、両者には深いつながりがあることがわかります。

呼び方が違うだけで基本的に同じ種類のお茶

さんぴん茶とジャスミン茶は、どちらもジャスミンの花で香り付けされたお茶ですが、ベースとなる茶葉や製法、味わいに違いがあります。

ジャスミン茶は中国語で香片茶(シャンピェンチャー)と呼ばれており、この発音が琉球(沖縄)に伝わる過程で変化し、さんぴん茶という呼び名になったとされています。

一般的に、ジャスミン茶は不発酵茶である緑茶をベースにしていることが多いのに対し、さんぴん茶は半発酵茶である烏龍茶をベースにしていることが多いです。 このため、ジャスミン茶は華やかでやや強めの香りと味わいが特徴ですが、さんぴん茶はより穏やかな香りでまろやかな味わいが特徴とされています。 ただし、さんぴん茶でも緑茶をベースにしたものや、ジャスミン茶でも烏龍茶や白茶をベースにしたものも存在します。

ジャスミン茶の香りで期待できるリラックス効果

ジャスミン茶の魅力は、その味わいだけではありません。
あの華やかで甘い香りには、心身をリラックスさせる効果が期待できると言われています。

また、ベースとなっているお茶由来の成分も同時に摂取できるため、香りと味わいの両面から体に良い影響をもたらす可能性があります。

緑茶由来のカテキンも摂取できる

ジャスミン茶の多くは緑茶をベースに作られているため、緑茶の代表的な健康成分であるカテキンも含まれています。
カテキンはポリフェノールの一種であり、その健康効果で知られています。
ジャスミン茶を飲むことで、ジャスミンの花の香りによるリラックス効果と、緑茶由来のカテキンが持つ働きを同時に得ることが可能です。

香りによる癒やしだけでなく、ベースとなる茶葉の成分も摂取できる点は、ジャスミン茶ならではの利点と言えるでしょう。

ジャスミン茶の香りを楽しむためのおいしい淹れ方

ジャスミン茶の魅力を最大限に引き出すためには、淹れ方にもこだわりたい。
お湯の温度や抽出時間を調整することで、香りを豊かに立たせたり、味わいをすっきりとさせたりできる。

ここでは、ジャスミン茶をおいしく楽しむための基本的な淹れ方のポイントを紹介する。

高温のお湯を使い短時間で淹れるのがコツ

ジャスミン茶の華やかな香りをしっかりと引き出すには、80℃から90℃程度の少し高めの温度のお湯を使うのがおすすめです。
高温で淹れることで、香りの成分が立ちやすくなります。
ただし、抽出時間が長すぎると、茶葉から渋みや苦み成分であるタンニンやカテキンが多く溶け出してしまい、味わいを損ねる原因になります。

そのため、蒸らし時間は30秒から1分程度と短めにするのがポイントです。
高温のお湯でさっと淹れることで、豊かな香りを楽しみつつ、すっきりとした後味に仕上がります。

水出しなら苦みを抑えてすっきり飲める

暑い季節や苦み渋みが苦手な場合は水出しで淹れるのも良い方法です。
水でゆっくりと時間をかけて抽出することにより苦みや渋みの原因となるカフェインやタンニンの溶出を抑えることができます。
その結果お湯で淹れた時とはまた違ったまろやかで優しい甘みとすっきりとした味わいが楽しめます。

作り方は簡単で茶葉と水をポットに入れて冷蔵庫で数時間置いておくだけです。
雑味のないクリアな風味はリフレッシュしたい時にぴったりです。

まとめ

ジャスミン茶の多くは緑茶をベースに、ジャスミンの花の香りを付けた着香茶です。茶葉本来の風味を楽しむ煎茶とは異なり、後から加えられた華やかな香りが最大の特徴です。この香りは、茶葉と花を交互に重ねる伝統的な製法によって生み出されます。

また、沖縄で親しまれているさんぴん茶はジャスミン茶の一種ですが、一般的なジャスミン茶とは異なる点があります。さんぴん茶はウーロン茶をベースにした半発酵茶であることが多く、緑茶をベースとする不発酵茶のジャスミン茶とは、発酵度合いや味わいに違いがあります。さんぴん茶は香りが穏やかでまろやかな味わいが特徴です。

現在では、伊藤園をはじめとする多くのメーカーからペットボトル飲料も販売されており、手軽にその味を楽しめますが、茶葉から丁寧に淹れることで、より一層豊かな香りと味わいを堪能できます。

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