コラム

ほうじ茶の効能を成分ごとに解説!期待できる効果や注意点も

2025.9.16

ほうじ茶は、その香ばしい香りで多くの人に親しまれているお茶の一種です。
ほうじ茶を飲むことには、リラックス効果をはじめとする様々なメリットがあり、健康や美容に関心がある人々から注目されています。
ほうじ茶を飲むと、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
お茶の成分がもたらす体への良い影響から、安全に楽しむための注意点まで、ほうじ茶の効能について詳しく解説します。

ほうじ茶の効能を支える主な4つの成分

ほうじ茶の持つ様々な効能は、含まれている特有の成分によるものです。
リラックス効果をもたらすアミノ酸の一種「テアニン」や、生活習慣病予防に役立つポリフェノール「カテキン」がその代表例です。
また、ほうじ茶ならではの香ばしい香りの源である「ピラジン」も、心身に良い影響を与えます。
一方で、含有量は少ないものの「カフェイン」も含まれており、その働きと摂取量には注意が必要です。
これらの成分が複合的に作用することで、ほうじ茶の魅力が生み出されています。

リラックス効果をもたらす「テアニン」

テアニンは、お茶に含まれるアミノ酸の一種で、旨味や甘みの成分です。
テアニンには、心身をリラックスさせる効果があることが知られています。
摂取すると、脳内でリラックス状態の指標とされるα波が増加し、緊張やストレスが和らぎます。
また、興奮を鎮める働きによって、穏やかな眠りを促し、寝つきの改善をサポートする役割も期待できます。
睡眠の質を高めるだけでなく、集中力を維持する手助けにもなるため、仕事や勉強の合間の休憩時間にほうじ茶を取り入れるのも良い方法です。
カフェインの興奮作用を穏やかにする働きも持っています。

生活習慣病予防に役立つ「カテキン」

カテキンはお茶特有の渋み成分でありポリフェノールの一種です。
強い抗酸化作用を持ち体内の細胞を傷つけて老化や病気の原因となる活性酸素の働きを抑制します。
この働きにより生活習慣病の予防に役立つとされています。
具体的には血中の悪玉コレステロールの上昇を抑えたり血糖値の急激な上昇を穏やかにしたりする効果が報告されています。
さらに血圧の上昇を抑制する作用も期待されており高血圧の予防にもつながります。
継続的に摂取することで健康維持をサポートする成分です。

香ばしい香りの源「ピラジン」

ピラジンは、ほうじ茶が持つ独特の香ばしい香りのもととなる成分です。
この成分は、もともと緑茶の葉に含まれているわけではなく、茶葉を高温で焙煎する過程で、アミノ酸と糖が化学反応(メイラード反応)を起こすことによって生成されます。
この心地よい香りには、脳をリラックスさせる効果があり、心を落ち着かせてくれます。
さらに、ピラジンには血液が固まるのを防ぎ、血流をスムーズにする働きも期待されています。
高い熱を加えることで生まれるほうじ茶ならではの成分が、リラックスと健康の両面に良い影響をもたらします。

含有量は少なめでも注意したい「カフェイン」

ほうじ茶は、玉露などの他のお茶と比較してカフェインの含有量が少ないという特徴があります。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、100mlあたりのカフェイン含有量は、ほうじ茶が20mg、煎茶が20mg、玉露が160mgです。この情報から、ほうじ茶のカフェイン含有量は煎茶と同程度であり、玉露よりも少ないことが確認できます。

これは、原料となる茶葉を高温で焙煎する過程で、カフェインの一部が昇華し減少するためです。そのため、子どもからお年寄りまで幅広い世代に飲みやすいお茶とされています。しかし、カフェインが全く含まれていないわけではありません。適度な量のカフェインは、眠気を覚まし集中力を高めるなどの良い効果をもたらしますが、過剰に摂取すると睡眠の質を低下させたり、胃に負担をかけたりする可能性があります。特にカフェインに敏感な人は、飲む量や時間帯に配慮が必要です。

ほうじ茶を飲むことで期待できる7つの健康効果

ほうじ茶に含まれる成分は、私たちの体に様々な良い影響をもたらします。
代表的なものとして、カテキンによるコレステロール値の上昇抑制や体脂肪燃焼のサポートが挙げられます。
また、ビタミンCによる美肌効果や、ピラジンの香りによるリラックス効果、血行促進による冷え性の改善なども期待できるでしょう。
ここでは、ほうじ茶を飲むことで得られる具体的な7つの健康効果について、成分の働きとあわせて詳しく解説していきます。

カテキンの力で血中コレステロールの上昇を抑制

ほうじ茶に含まれるカテキンには、血中コレステロール、特に悪玉(LDL)コレステロールの上昇を抑制する作用があります。
食事から摂取したコレステロールが小腸で吸収されるのを穏やかにし、体外への排出を促す働きが報告されています。
また、カテキンが持つ強い抗酸化作用は、悪玉コレステロールが酸化して血管の壁に付着し、動脈硬化を引き起こすのを防ぐのに役立ちます。
この一連の作用により、血液中の脂質バランスが整えられ、生活習慣病のリスク低減に貢献します。
脂質の多い食事を摂ることが多い場合、食中や食後にほうじ茶を飲む習慣は健康維持の一助となります。

カテキンが体脂肪の燃焼をサポート

ほうじ茶に含まれるカテキンは、体脂肪の燃焼を助ける効果も期待されています。
カテキンには、食事による脂肪の吸収を抑える働きと、体内でエネルギー消費を促進する酵素を活性化させる働きがあります。
これにより、体に蓄積された脂肪が燃焼されやすくなります。
適度な運動と組み合わせることで、より効率的な体脂肪の減少が見込めるでしょう。
また、ほうじ茶には腸内環境を整えるのに役立つ成分も含まれており、便秘の改善をサポートします。
さらに、穏やかな利尿作用により、体内の余分な水分や老廃物の排出を促し、むくみの解消にもつながります。

老化の原因にアプローチする抗酸化作用

私たちの体は、呼吸によって取り入れた酸素の一部から活性酸素を生成します。
この活性酸素が過剰になると、細胞を傷つけ、老化や生活習慣病の原因となるといわれています。
ほうじ茶に含まれるカテキンやビタミンEは、この活性酸素の働きを抑制する強力な抗酸化作用を持つ成分です。
これらの抗酸化物質が、体内の酸化ストレスから細胞を守り、老化の進行を緩やかにする手助けをします。
日々の生活の中でほうじ茶を飲む習慣を取り入れることは、体の内側から若々しさを保つための抗酸化ケアにつながります。

ビタミンCがシミやそばかすを防ぎ美肌へ導く

ほうじ茶にはビタミンCが含まれており、美肌を保つために役立つ可能性があります。ビタミンCは、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制する働きがあることで知られています。また、肌の弾力やハリを支えるコラーゲンの生成を促進する役割も担っており、健やかな肌を維持するためには重要な栄養素です。一般的にビタミンCは熱に弱い性質がありますが、ほうじ茶に含まれるカテキンがビタミンCを保護するため、加熱しても壊れにくいという利点があります。

ただし、ほうじ茶のビタミンC含有量については、情報源によって見解が異なります。レモンの約5倍のビタミンCが含まれているという情報がある一方で、ほとんど含まれていないという情報もあります。 そのため、ほうじ茶を飲む際は、日常的な水分補給の一環として、美容成分を摂取できる可能性があるという認識が良いでしょう。

口臭予防にもつながるカテキンの抗菌作用

ほうじ茶に含まれるカテキンには、優れた抗菌・殺菌作用があり、口臭の予防に効果的です。
口臭の主な原因は、口内に存在する細菌がタンパク質を分解する際に発生させる揮発性硫黄化合物です。
カテキンは、これらの原因菌の増殖を抑制する働きを持ちます。
食後にほうじ茶を飲むことで、口の中をすっきりとさせ、食べカスなどを洗い流すとともに、細菌の活動を抑えることができます。
さらに、カテキンの殺菌作用は、食中毒の原因となる菌や、胃の不調に関係するとされるピロリ菌に対しても効果が期待されています。
ただし、空腹時に飲むと胃に負担をかけることもあるため注意が必要です。

テアニンとピラジンの香りで心身をリラックスさせる

ほうじ茶がもたらすリラックス効果は、主に「テアニン」と「ピラジン」という二つの成分の相乗効果によるものです。
テアニンは、お茶の旨味成分であり、脳の興奮を抑え、リラックス状態を示すα波を増加させることが知られています。
一方、ピラジンは茶葉を焙煎する際に生成される香ばしい香りの成分で、この香り自体にも鎮静作用があり、心を落ち着かせます。
ほうじ茶の香りには、ラズベリーなどにも含まれるゲラニオールといったリラックス効果を持つ香り成分も含まれており、これらの香りが複雑に調和して、深いリラクゼーションをもたらします。
仕事の合間や一日の終わりに最適です。

ピラジンが血行を促進し冷え性の改善を助ける

ほうじ茶特有の香ばしい香りの成分であるピラジンには、血液を固まりにくくし、血流を改善する働きがあることが知られています。
血管が拡張し血行が促進されると、体の隅々まで温かい血液が行き渡りやすくなるため、手足の末端の冷え改善に役立ちます。
特に、体が冷えやすいと感じる時に温かいほうじ茶を飲むことは、体を芯から温めるのに効果的です。
ほうじ茶はカフェイン含有量が少ないため、就寝前に飲んでも睡眠への影響が比較的小さいのが特徴です。
温かいほうじ茶でリラックスしながら、つらい冷えの対策を行うことができます。

ほうじ茶の効能を安全に得るための注意点

ほうじ茶は健康や美容に多くのメリットをもたらしますが、その効能を安全に得るためにはいくつかの注意点があります。
体に良いとされる飲み物でも、飲み過ぎたり、飲むタイミングを間違えたりすると、かえって体に悪い影響を与えてしまう可能性も否定できません。
特にカフェインの摂取量や、1日の目安量については正しく理解しておくことが重要です。
妊娠中や授乳中の方は、より慎重な配慮が求められます。
ここでは、ほうじ茶を安心して楽しむためのポイントを解説します。

カフェインが含まれるため就寝直前に飲むのは避ける

ほうじ茶は緑茶やコーヒーに比べてカフェインの含有量が少ないお茶ですが、全く含まれていないわけではありません。
カフェインには中枢神経を刺激する覚醒作用があるため、就寝直前に飲むと寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする可能性があります。
特にカフェインに敏感な体質の人は、その影響を受けやすい傾向にあります。
リラックス効果を期待して夜にほうじ茶を飲む場合は、就寝の2〜3時間前までには飲み終えるようにすると良いでしょう。
夜遅い時間帯に温かい飲み物が欲しくなった際には、カフェインを含まない麦茶やハーブティーなどを選ぶといった工夫も有効です。

健康のためにも1日の摂取目安量を守ろう

ほうじ茶には明確な摂取上限量が定められているわけではありませんが、健康的に楽しむためには適量を守ることが推奨されます。
一般的な目安としては、1日に湯呑みで5〜6杯程度が良いとされています。
ほうじ茶に含まれるタンニンは、過剰に摂取すると食事に含まれる鉄分の吸収を妨げることがあります。
また、カフェインも含まれているため、飲み過ぎは胃への負担や利尿作用の強まりにつながる可能性も考慮すべきです。
毎日飲む習慣がある方は特に、水分補給のすべてをほうじ茶に頼るのではなく、水やお茶など他の飲み物とバランスよく組み合わせることが大切です。

妊娠中や授乳中はカフェインの摂取量に特に気を配る

妊娠中や授乳中は、カフェインの摂取に特に注意が必要です。
摂取したカフェインは胎盤を通じて胎児に移行したり、母乳に含まれたりすることが知られています。
ほうじ茶は他のお茶に比べてカフェインが少ないとはいえ、摂取量には配慮が求められます。
世界保健機関(WHO)などでは、妊婦のカフェイン摂取量について目安を示しており、それに従うのが望ましいです。
飲む場合は1日に1〜2杯程度に留めるか、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
安心して飲めるものを探している場合は、カフェインを全く含まない麦茶やルイボスティーなどが適しています。

まとめ

ほうじ茶は、煎茶や番茶といった緑茶を焙煎して作られるお茶です。
高温で焙じることでカフェインが減少し、ピラジンという特有の香ばしい香りが生まれます。
緑茶由来のカテキンやテアニンがもたらす健康効果と、焙煎によって生まれるピラジンのリラックス効果や血行促進効果を同時に得られるのが大きな魅力です。
炒った米の香ばしさが特徴の玄米茶や、茶葉を発酵させて作る紅茶とは異なる風味と効能を持っています。
ほうじ茶に含まれる成分とその働き、そして飲む際の注意点を理解することで、そのメリットをより深く享受できます。
日々の生活にうまく取り入れて、健康維持に役立ててみてはいかがでしょうか。

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