コラム

緑茶と抹茶の違いを簡単に解説!栄養やお菓子での使い分けも紹介

2025.10.22

緑茶と抹茶はどちらも日本の代表的なお茶ですが、その違いを正確に説明できる人は多くありません。
実は抹茶は緑茶の一種であり、その製造方法に大きな特徴があります。
この記事では、緑茶と抹茶の違いについて、栽培方法から味、栄養価まで5つのポイントで簡単に解説します。

また、お菓子作りに抹茶が使われる理由や、見た目が似ている粉末緑茶との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

意外と知らない?抹茶は緑茶の種類のひとつ

抹茶は緑茶とは全く異なる種類のお茶だと思われがちですが、実は同じ「チャノキ」という植物の葉から作られています。
つまり、抹茶は数ある緑茶の一種なのです。

緑茶は、煎茶や玉露、ほうじ茶など、栽培方法や製造工程の違いによって様々な種類に分けられます。
抹茶もその中の一つであり、原料となる茶葉の育て方や作り方が他のお茶とは異なるため、独特の色や風味が生まれます。

緑茶と抹茶の5つの違いを徹底比較

抹茶が緑茶の一種であることは分かりましたが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、代表的な緑茶である煎茶との比較を中心に、栽培方法、製造工程、味と香り、栄養成分、そして飲み方の5つの観点から、抹茶と煎茶の違いを詳しく解説します。

これらの違いを知ることで、それぞれの特徴がより深く理解できるはずです。

日光を遮るかどうかが鍵!茶葉の栽培方法の違い

緑茶と抹茶の最も根本的な違いは、茶葉の栽培方法にあります。
煎茶などの一般的な緑茶は、収穫までずっと太陽の光を浴びせて育てます。
これにより、光合成が活発に行われ、爽やかな渋み成分であるカテキンが増加します。
一方、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)は、収穫前の約20日間、よしず棚や藁などで茶園を覆い、日光を遮って栽培します。

この「被覆栽培」によって、茶葉の葉緑素が増え、鮮やかな緑色になります。
また、日光を制限することでカテキンの生成が抑えられ、旨味成分であるテアニンが豊富に含まれた、まろやかで甘みのある品質の茶葉が育ちます。

揉むか挽くか?収穫後の製造工程の違い

収穫後の製造工程も大きく異なります。
煎茶の場合、摘み取った茶葉を蒸して酸化酵素の働きを止めた後、揉みながら乾燥させます。
この「揉む」工程により、茶葉の組織が壊れ、お湯を注いだ際に成分が抽出しやすくなります。
一方、抹茶の原料である碾茶は、蒸した後に揉まずにそのまま乾燥させ、茎や葉脈などを丁寧に取り除きます。

そして、石臼を使ってゆっくりと挽き、きめ細かい粉末状にしたものが抹茶です。
石臼で時間をかけて挽くことで、摩擦熱を抑え、抹茶特有の鮮やかな色と豊かな風味を損なわないようにしています。
茶葉を揉まずに乾燥させ、最終的に粉にすることが抹茶づくりの特徴です。

旨味と渋みのバランスでわかる味・香りの違い

栽培方法と製造工程の違いは、味や香りにも明確な差を生み出します。
煎茶は日光を浴びて育つため、カテキンが豊富で、爽やかな渋みとすっきりとした清涼感のある香りが特徴です。
一方、抹茶は被覆栽培によって旨味成分のテアニンが多く含まれるため、渋みは穏やかで、濃厚な旨味とコク、そして「覆い香(おおいか)」と呼ばれる海苔のような独特の甘い香りを楽しめます。

この深い味わいは、茶葉を丸ごと粉にしていることにも由来します。
味のバランスとしては、煎茶が渋みと旨味の調和を重視するのに対し、抹茶は旨味と甘みが際立っている点が大きな違いです。

茶葉を丸ごと飲むから栄養豊富!含まれる成分の違い

緑茶と抹茶では、摂取できる栄養成分にも違いがあります。
煎茶は急須で淹れて茶殻を捨てるため、お湯に溶け出す水溶性の成分(カテキン、テアニン、ビタミンCなど)しか摂取できません。

一方、抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲むため、水に溶け出さない不溶性の成分(食物繊維、ビタミンE、β-カロテンなど)もすべて摂取できるのが大きな特徴です。
そのため、同じ量の茶葉からでも、抹茶の方がより多くの栄養を効率的に摂ることが可能です。
カテキンなどの成分はどちらにも含まれますが、日光を遮って栽培される抹茶は、旨味成分であるテアニンが煎茶よりも豊富に含まれています。

お湯で淹れる?点てる?美味しい飲み方の違い

飲み方にも大きな違いがあります。
煎茶は急須に茶葉を入れ、お湯を注いで成分を抽出する「淹れる」という方法で楽しみます。
お湯の温度や抽出時間によって味のバランスが変わるため、好みに合わせて調整できます。

一方、抹茶は茶碗に抹茶の粉末を入れ、お湯を注ぎ、茶筅(ちゃせん)という専用の道具でかき混ぜて泡立てる「点(た)てる」という作法で飲みます。
この方法により、粉末が均一に溶け、クリーミーな口当たりになります。
また、抹茶は牛乳と混ぜて抹茶ラテにしたり、お菓子作りの材料として使われたりと、伝統的な飲み方以外にも幅広い楽しみ方ができるのが魅力です。

【要注意】抹茶と粉末緑茶はまったくの別物!

抹茶と同じように見える緑色の粉末に「粉末緑茶(粉茶)」があります。
どちらも粉状で手軽にお茶を楽しめますが、これらは全くの別物です。
原料となる茶葉や製造方法が異なるため、色や味、香りにも大きな違いがあります。

価格も抹茶の方が高価な場合が多く、お菓子作りなどで間違えて使うと、仕上がりに影響が出ることもあります。
この違いを知っておくことで、用途に合わせて正しく使い分けることが可能です。

原料となる茶葉からして異なる

抹茶と粉末緑茶の最も大きな違いは、原料となる茶葉です。
前述の通り、抹茶は日光を遮って育てた「碾茶」を石臼で挽いて作られます。
一方、粉末緑茶は、煎茶を作る工程で出た粉や、煎茶そのものを粉砕して作られます。
つまり、原料は日光をたっぷりと浴びて育った茶葉です。

そのため、粉末緑茶は煎茶特有の爽やかな渋みとすっきりとした味わいが特徴となります。
抹茶が碾茶という特別な茶葉を原料とするのに対し、粉末緑茶は主に煎茶を原料としている点が根本的な違いです。
スーパーなどで見かける回転寿司店のお茶も、この粉末緑茶がよく使われています。

鮮やかな色や豊かな風味にも差がある

原料と製造方法が異なるため、色や風味にもはっきりとした差が現れます。
抹茶は、被覆栽培によって葉緑素が増えた碾茶を低温で丁寧に挽くため、鮮やかで深い緑色をしています。
味わいは旨味が強く、渋みはまろやかです。

一方、粉末緑茶は煎茶を粉にしているため、色は黄みがかった緑色や深緑色で、抹茶ほどの鮮やかさはありません。
味は煎茶由来のキリッとした渋みが特徴です。
香りは、抹茶が甘くまろやかな覆い香を持つのに対し、粉末緑茶は煎茶らしい爽やかな香りがします。
これは、ほうじ茶が香ばしい香りがするのと同じで、原料茶葉の特性がそのまま反映されるためです。

お菓子作りに抹茶が使われる理由

ケーキやクッキー、チョコレートなど、様々なお菓子に抹茶が使われています。
なぜ、煎茶やほうじ茶ではなく、抹茶がこれほどお菓子作りに適しているのでしょうか。
その理由は、抹茶が持つ独特の色と風味にあります。

お菓子に鮮やかな彩りと、他の素材に負けない濃厚な味わいを加えることができるため、プロのパティシエから家庭でのお菓子作りまで幅広く愛用されています。

鮮やかな緑色で見た目が華やかになるから

抹茶がお菓子作りに用いられる大きな理由の一つは、その鮮やかな緑色です。
被覆栽培によって育まれた抹茶は、日光を遮ることで葉緑素が増加し、鮮やかな緑色になることが知られています。しかし、一般的に抹茶は熱や光、酸素に弱く、時間が経つと色が茶色に変色しやすい性質があります。一部の製菓用抹茶には、熱や光による退色を防ぐためにクロロフィルの安定化技術が用いられたり、クロレラやクチナシなどの着色料を配合したりする工夫がされています。このような工夫がされた抹茶は、熱を加えても比較的退色しにくく、美しい緑色を保ちやすいとされています。
このため、焼き菓子やクリーム、生地などに混ぜ込むだけで、見た目が一気に華やかになります。

例えば、シンプルなパウンドケーキも、抹茶を加えるだけで美しい緑のマーブル模様や断面になり、高級感が生まれます。
素材の色は仕上がりの印象を大きく左右します。紅茶の茶葉を使ったお菓子が茶色になるように、抹茶の持つ鮮烈な緑色は、食欲をそそるだけでなく、お菓子のデザイン性を高める上で非常に重要な役割を果たしているのです。

濃厚な風味とコクがお菓子に深みを加えるから

抹茶特有の濃厚な風味とコクも、お菓子作りに欠かせない要素です。
抹茶は旨味成分のテアニンを豊富に含み、穏やかな渋みと深いコクを持っています。

この味わいが、バターやクリーム、砂糖などの甘い材料と合わさることで、単に甘いだけではない、味に深みと奥行きのあるお菓子が完成します。
抹茶のほろ苦さが甘さを引き立て、全体の味のバランスを整える役割も果たします。
また、茶葉を丸ごと粉にしているため、お菓子に加えることで抹茶の持つ栄養や健康効果も期待できるという側面もあります。
チョコレートやあんこといった濃厚な素材とも相性が良く、和洋を問わず幅広いお菓子に活用されています。

まとめ

緑茶と抹茶は、同じチャノキから作られるものの、栽培方法や製造工程に大きな違いがあります。
日光を遮って育てた碾茶を石臼で挽いたものが抹茶であり、日光を浴びて育った茶葉を揉んで乾燥させたものが煎茶などの緑茶です。
この違いにより、味、香り、色、含まれる栄養成分が異なります。

抹茶は旨味が強く、栄養を丸ごと摂取できる一方、煎茶は爽やかな渋みが特徴です。
また、見た目が似ている粉末緑茶は、煎茶を粉にしたものであり、抹茶とは原料から異なります。
お菓子作りでは、抹茶の鮮やかな色と濃厚な風味が重宝されます。
これらの違いを理解することで、それぞれの特性に合わせた楽しみ方ができるようになります。

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