
妊娠中に緑茶を飲んでも良いのか、不安に感じる方は少なくありません。
緑茶に含まれるカフェインは、胎児への影響が気になるところです。
しかし、適切なカフェイン量を守れば、完全に断つ必要はありません。
この記事では、妊娠中の緑茶との付き合い方について、1日のカフェイン摂取量の目安や安心して飲むための注意点、緑茶の種類ごとのカフェイン含有量の違いなどを詳しく解説します。
目次
結論:妊婦が緑茶を飲むのはNGではないが量に注意が必要
妊婦が緑茶を飲むことは、全面的に禁止されているわけではありません。
適量を守れば、リラックスタイムの一杯として楽しむことが可能です。
重要なのは、1日に摂取するカフェインの総量に注意することです。
緑茶にはカフェインが含まれているため、飲む量や濃さを意識する必要があります。
どのくらいの量なら飲めるのか、緑茶の種類によってカフェイン含有量がどう違うのかを正しく理解し、上手に取り入れることが大切です。
妊娠中にカフェインの過剰摂取を避けるべき理由
妊娠中に摂取したカフェインは、胎盤を通じて胎児にも移行します。
しかし、胎児は肝臓の機能が未熟なため、カフェインを分解して体外に排出するのに非常に長い時間がかかります。
そのため、母体がカフェインを過剰に摂取すると、胎児の体に長時間カフェインが留まり、発育に影響を及ぼす可能性があります。
特に、胎児の低体重や将来の健康リスクとの関連が指摘されています。
妊娠後期は胎児の体が大きく成長する重要な時期であるため、引き続きカフェインの摂取量には注意が必要です。
妊婦が1日に摂取して良いカフェイン量の上限は?
妊娠中の1日あたりのカフェイン摂取量について、日本の厚生労働省は明確な基準を設けていませんが、海外の機関では具体的な数値が示されています。
例えば、世界保健機関(WHO)では1日300mgまで、英国食品基準庁(FSA)では200mgまでを目安としています。
この量を緑茶で換算すると、湯呑みで2〜3杯程度となります。
ただし、これはあくまで目安であり、個人の体質や妊娠の経過によっても異なります。
妊娠中期を含め、妊娠期間を通して、一日何杯までと決めて過剰摂取にならないよう、ご自身のカフェイン摂取量を管理することが望ましいです。
【種類別】緑茶に含まれるカフェイン含有量を比較
一言で緑茶といっても、その種類によって含まれるカフェインの量は異なります。
日常的によく飲まれる煎茶をはじめ、玉露や番茶、ほうじ茶など、それぞれのお茶が持つ特徴とカフェイン含有量を知ることで、妊娠中でも安心して選べるようになります。
カフェインが多いお茶と少ないお茶を把握し、その日の体調や気分に合わせて上手に飲み分けることが、カフェイン摂取量をコントロールする上で役立ちます。

カフェインが多い緑茶の種類
緑茶の中でも特にカフェイン含有量が多いのは、玉露や抹茶です。
玉露は、収穫前に日光を遮って栽培されるため、旨味成分であるテアニンと共にカフェインも豊富に蓄えられます。
一般的な煎茶の2倍以上のカフェインを含むこともあります。
また、抹茶は茶葉をまるごと粉末にして飲むため、お湯に抽出して飲む他のお茶に比べてカフェインの摂取量が多くなります。
これらのお茶は風味が豊かで美味しいですが、妊娠中に飲む際は量に特に注意が必要です。
普段から濃いめのお茶を好んで飲む方も、カフェイン量が多くなる傾向があるため意識すると良いでしょう。
カフェインが少ない緑茶の種類
カフェインの含有量が比較的少ない緑茶として、ほうじ茶や番茶、玄米茶が挙げられます。
ほうじ茶は、煎茶や番茶を高温で焙煎して作られます。
この焙煎過程でカフェインが昇華するため、含有量が減少します。
番茶は、夏以降に収穫される硬めの茶葉から作られ、もともとカフェインが少なめです。
玄米茶は、煎茶や番茶に炒った玄米を混ぜているため、茶葉そのものの使用量が少なくなり、結果として一杯あたりのカフェイン量が抑えられます。
これらのカフェインが少ないお茶は、妊娠中でも比較的安心して楽しめる選択肢と言えます。
妊娠中に緑茶を飲むことで得られるメリット
緑茶はカフェインだけでなく、妊婦にとって有益な成分も含まれています。
代表的なものがカテキンです。
カテキンには強い抗酸化作用があり、免疫力をサポートする効果が期待できます。
また、リラックス効果をもたらすアミノ酸の一種であるテアニンも含まれており、妊娠中のストレス緩和に役立つ可能性があります。
さらに、カテキンには抗菌作用もあるため、口内環境を清潔に保つのにも一役買います。
適量を守ることで、これらのメリットを享受できます。
カテキン量はカフェイン量と必ずしも比例しないため、工夫次第でカフェインを抑えつつカテキンを摂取することも可能です。
妊婦が緑茶を安心して楽しむための3つのポイント
妊娠中でも大好きな緑茶を楽しみたいという方のために、カフェインの摂取を抑えながら安心して飲むためのポイントをご紹介します。
淹れ方や選び方、飲み方の習慣を少し見直すだけで、カフェイン摂取量をコントロールすることは可能です。
これから紹介する3つの方法は、どれも簡単に実践できるものばかりです。
これらのポイントを押さえて、妊娠中のお茶の時間をより豊かでリラックスできるものにしてください。
自分に合ったおすすめの方法を見つけることが、ストレスなく続けるコツです。
低温のお湯で淹れてカフェインを抑える
緑茶に含まれるカフェインは、高温のお湯で抽出されやすい性質を持っています。
そのため、沸騰したてのお湯ではなく、70℃程度まで冷ましたぬるめのお湯で淹れると、カフェインの抽出量を効果的に抑えることが可能です。
一方で、旨味成分であるテアニンは低温でも抽出しやすいため、まろやかで美味しい緑茶を味わえます。
さらにカフェインを減らしたい場合は、水出しも有効な手段です。
茶葉を水に入れて冷蔵庫で数時間置くだけで、カフェインの抽出を大幅に抑えつつ、すっきりとした味わいの緑茶が楽しめます。
特に夏場の水分補給に適しています。
カフェインレス・デカフェの緑茶を選ぶ
カフェイン量を気にせずに緑茶の風味を楽しみたい場合には、カフェインレスやデカフェと表示された製品を選ぶのが確実な方法です。
これらは特殊な製法によって茶葉からカフェインを取り除いたり、含有量を大幅に減らしたりしたものです。
カフェインの除去処理により、通常の緑茶とは風味が若干異なることもありますが、近年は技術の向上により、遜色のない味わいの製品が増えています。
スーパーや専門店、オンラインショップなどで、妊婦さん用として販売されているものもあり、手軽に入手できます。
カフェインを気にすることなく、リラックスしたい時に最適な選択肢です。
飲む量や時間をあらかじめ決めておく
カフェインの過剰摂取を防ぐためには、1日に飲む緑茶の量を事前に決めておくことが有効です。
例えば、「食事の時に湯呑みで一杯だけ」や「午後の休憩にマグカップ1杯まで」といった具体的なルールを設けることで、無意識のうちに飲み過ぎるのを防げます。
毎日緑茶を飲む習慣がある方は特に、一日の総量を意識することが重要です。
また、飲む時間帯を工夫するのも一つの方法です。
緑茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を妨げることがあるため、貧血が気になる方は食事の直後を避けるのが賢明です。
就寝前に飲むと睡眠に影響が出る可能性もあるため、控えたほうが良いでしょう。
緑茶の代わりに!妊娠中におすすめのノンカフェイン飲料
緑茶に含まれるカフェインが気になる時や、他の飲み物も楽しみたい妊婦さんには、ノンカフェインの飲料がおすすめです。
麦茶はミネラルが豊富で、古くから日本の夏場の水分補給に親しまれています。
ルイボスティーは、リラックス効果や抗酸化作用が期待でき、クセが少なく飲みやすいのが特徴です。
また、黒豆茶は香ばしい風味で、栄養価も高いとされています。
これらの飲み物はカフェインを含まないため、時間や量を気にすることなく安心して楽しめます。
水分補給が特に重要になる妊娠期間中、これらの選択肢をレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。

緑茶以外にもある!妊娠中に注意したい飲み物
妊娠中にカフェインの摂取を管理する際は、緑茶以外の飲み物にも目を向ける必要があります。
実は、コーヒーだけでなく紅茶や烏龍茶にもカフェインは含まれています。
これらの飲料も、緑茶と同様に飲む量や頻度に注意が必要です。
また、コーラなどの一部の炭酸飲料や、眠気覚ましを目的としたエナジードリンクには多量のカフェインが含まれていることがあるため、特に気をつけたい飲み物です。
医薬品のなかにもカフェインを含むものがあります。
何を飲むにしても、成分表示を確認する習慣をつけ、1日のトータルでのカフェイン摂取量を把握することが大切です。
まとめ
妊婦が緑茶を飲むこと自体は問題ありませんが、1日のカフェイン摂取量の上限である200mg〜300mgを目安に、量を調整することが重要です。
緑茶は玉露のようにカフェインが多い種類もあれば、ほうじ茶のように少ない種類もあります。
また、低温で淹れたり水出しにしたりする工夫で、カフェインの抽出を抑えることが可能です。
カフェインレスやデカフェの製品を利用するのも一つの良い方法です。
紅茶やコーヒーなど、緑茶以外にもカフェインを含む飲料は多いため、飲み物全体の総量を意識して管理することが求められます。
自身の体調と相談しながら、ストレスにならない範囲で飲み物を選び、健やかなマタニティライフを送ってください。